有機と無機の特徴を持つ有機無機ハイブリッドは、光学・電子材料をはじめとする様々な分野で利用されています。ゾルゲル反応、光化学反応、電気化学反応、相分離などの省資源・省エネルギー・低環境負荷型プロセス(グリーンプロセス)を活用して、高分子材料、金属錯体、ナノ粒子、金属酸化物を用いたハイブリッド材料の創製とその周辺技術の開発を行っています。
担当者
・渡辺 充 研究室長
・柏木 行康 主任研究員
・御田村 紘志 主任研究員
・中村 優志 研究員
・稲葉 凌斗 研究員
・渡瀬 星児 研究部長
・玉井 聡行 研究フェロー
対応領域
電子材料、エレクトロニクス、化成品などの化学系の業界。
有機無機ハイブリッド、金属錯体、機能性高分子、フォトポリマー、ケイ素系高分子材料、発光材料、光学材料、マイクロ/ナノ構造材料、各種応答材料。
ゾルゲル反応、クリック反応、高分子重合、光反応プロセス、電極反応プロセス、など。
ダイオード、有機EL、太陽電池、各種センサーなどの電子デバイス。
研究内容
分析・評価
当研究室は有機・無機ハイブリッド材料の経験に基づき、有機物、無機物が混在するようなサンプルの分析・評価を行うことができます。様々な材料の組成の分析、形状の観察、機能の評価を承ります。
- ・組成分析:蛍光X線、X線光電子分光(XPS)、単結晶X線構造解析、レーザーラマン分光、赤外分光分析、熱分解GC-MSなど
- ・形状観察:動的光散乱、粉末X線回折、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、レーザー顕微鏡など
- ・機能評価:イオンマイグレーション、比抵抗測定、誘電特性評価、紫外可視・近赤外分光、蛍光分光、絶対反射率測定など
ポリシルセスキオキサン
クリック反応を利用した有機官能基の導入や機能性分子とのハイブリッド化による、ポリシルセスキオキサンへの機能付与(半導体特性、発光特性、屈折率制御、各種センサー、電磁波シールド、コーティング、表面修飾など)に取り組んでいます。
金属錯体
金属元素と有機化合物の特徴をそれぞれ活かした組み合わせによる、発色、発光などの分光特性、キャリア輸送などの半導体特性、環境刺激応答性の発現・制御、構造物性相関、有機EL素子などデバイス用途への応用に取り組んでいます。
金属酸化物
省エネ・低コストなLBL法や電解法により、有機膜形成、酸化物膜形成、および有機膜-酸化物膜積層体の形成、キャリア輸送材料との接合形成による太陽電池や電磁波シールドコーティングなどの電子材料への応用に取り組んでいます。
相分離材料
光化学反応、高分子重合反応、クリック反応など複数の化学反応を利用した相分離制御により、マイクロ/ナノ構造を有するハイブリッド材料の創出と環境応答や環境調和などの機能化に取り組んでいます。
金属・酸化物ナノ粒子の合成
金属錯体の熱分解やアミン還元によって、各種のナノ粒子を合成することに成功しました。熱に対する反応性や、使用する分散媒の種類など、用途に応じてナノ粒子の粒子径・組成・有機保護層の設計・制御を行うことができます。
プリンテッドエレクトロニクスへの応用
印刷プロセスで配線、電極、接続等を形成するプリンテッドエレクトロニクス用途のナノ粒子ペーストの開発に取り組んでいます。熱処理だけではなく、光を用いた新しい焼結プロセスに関する基礎研究も行っています。
色材としてのナノ粒子
色材用途として、組成比により赤からオレンジ、黄色へと調色が可能な金‐銀合金ナノ粒子の開発を行っています。また、陶磁器やプラスチックに金属光沢膜を施すナノ粒子インクの開発も行っています。
高分子表面改質・修飾
フレキシブルエレクトロニクスを指向した、フレキシブルポリマー基材に対する紫外光やプラズマ照射による表面改質、ウエットプロセスによる表面修飾、そして無電解めっきによる金属薄膜形成に取り組んでいます。そこで形成される異種材料界面である、高分子/金属界面のナノスケール構造制御に注目しています。