高性能な構造材料用・生体材料用のマグネシウム合金やチタン超弾性合金の研究・開発に取り組んでいます。また、摩擦攪拌プロセスを用いた金属表面改質技術および材料創製に関する研究を行っています。
担当者
・渡辺 博行 研究室長
・木元 慶久 主任研究員
・岩﨑 真也 研究員
対応領域
業界 :非鉄金属素形材製造業、金属素形材製品製造業など
技術 :組織制御、元素分析、摩擦攪拌接合、摩擦攪拌プロセス
対象材料:マグネシウム合金、チタン合金、高エントロピー合金、特殊材料(水素吸蔵合金、超塑性合金、超弾性合金、形状記憶合金)
研究内容
マグネシウム基複合材料の開発
研究の概要
生体内分解性材料(骨治療に適用)の素材としてマグネシウムを利用することが注目されています。マグネシウムの弾性率が皮質骨に近い点、生体必須元素である点、などが理由です。材料の分解速度制御などを念頭において、リン酸カルシウム(水酸アパタイトやリン酸3カルシウム)の粒子を分散させたマグネシウム基複合材料の開発を進めています。
摩擦攪拌プロセスを用いた金属表面改質・材料創製技術の開発
研究の概要
摩擦攪拌プロセス(Friction Stir Processing、FSP)は、摩擦攪拌接合を金属材料の表面改質技術として応用したもので、回転工具が発生する摩擦熱と攪拌力を利用して、組織微細化などの改質を行う技術です。当研究室では、FSPを高度化し、優れた水素吸蔵・放出特性を示す軽量水素吸蔵合金の創製および量産化に取り組んでいます。
チタン基超弾性合金の開発ならびに時効熱処理による特性改善
研究の概要
チタン基超弾性合金に関しては、Ti-Cr-Al合金において高回復能を有する合金開発に成功してきました。これら合金の時効材に対して延性化を図るためのプロセス構築を、組成制御・組織制御の点から行っています。
研究室の要素技術
- ・金属素材の共振法による弾性特性の評価
- ・金属素材の振動減衰能の評価
- ・波長分散型蛍光X線分析装置による金属材料の元素分析
- ・金属材料の硬さ(ロックウェル、ビッカース)
- ・異周速圧延機によるによる軽金属の加工
- ・摩擦攪拌プロセス
- ・形状記憶・超弾性合金に対する形状記憶熱処理
研究成果(共著を含む)
-
渡辺 博行
-
木元 慶久
・Long term hydrogen storage properties of ZK60 Mg-alloy as processed by different methods of SPD
P. Cengeri, Y. Kimoto, M. Janoska, Z. Abbasi, Y. Morisada, H. Fujii, N. Enzinger, Ch. Sommitsch, G. Boczkal, G. Krexner, M. J. Zehetbauer, E. Schafler
Journal of Materials Science 59 (2024) 5906-5922.
・AZ91Dマグネシウム合金の機械的特性と析出物の体積率との関係
岩岡秀明、岩崎真也、渡辺博行
軽金属 74 (913) (2024) 22-27.
・摩擦攪拌技術を活用した水素吸蔵合金の高性能化・量産化
木元慶久
FORM TECH REVIEW 31 (2023) 34-38.
・Processing of Mg–Ca/tricalcium phosphate composites and their electrochemical properties in a cell culture medium
Hiroyuki Watanabe, Yuya Takeuchi, Toshiji Mukai
Materialia 27 (2023) 101683.
・片状黒鉛鋳鉄の組織と振動減衰能に及ぼすアルミニウム添加と熱処理の影響
淺野和典、藤戸謙吉、渡辺博行、岩崎真也、植木洸輔、仲井正昭
日本機械学会論文集 88 (913) (2022) 22-00216.
・摩擦攪拌処理による軽金属の組織微細化および複合材料創製
木元慶久
科学と工業 95 (4) (2021) 122-130.
・Effect of initial microstructure on grain refinement under hot compression in CrMnFeCoNi high-entropy alloy with Al addition
H. Watanabe, T. Murata, N. Ikeo, T. Mukai, K. Han, K. Tsuchiya
Materialia 18 (2021) 101172.
・Phase transformation and morphological features in a cold-worked CrMnFeCoNi high entropy alloy with Al addition
A. Singh, T. Hiroto, H. Watanabe, N. Ikeo, T. Muka, K.Tsuchiya
Materials Characterization 182 (2021) 111556.
・Effect of cold-working on phase formation during heat treatment in CrMnFeCoNi system high-entropy alloys with Al addition
H Watanabe, T Murata, S Nakamura, N Ikeo, T Mukai, K Tsuchiya
Journal of Alloys and Compounds 872 (2021) 159668.
・Grain boundary relaxation behavior in meso-grained dilute magnesium alloys
H Somekawa, K Naito, H Watanabe
Materialia 14 (2020) 100947.
・Change in damping capacity arising from twin-boundary segregation in solid-solution magnesium alloys
H. Somekawa, D.A. Basha, A. Singh, T. Tsuru, H. Watanabe
Philosophical Magazine Letters 100 (2020) 494-505
競争的研究費等
事業名 :池谷科学技術振興財団 単年度研究助成
研究課題 :高密度水素貯蔵材料の摩擦攪拌合成
研究期間 :2024年度
事業名 :天田財団 塑性加工 重点研究開発助成
研究課題 :強ひずみ加工による高機能材料の量産技術開発
研究期間 :2023年度から2025年度
事業名 :科研費基盤(C)
研究課題 :骨修復を促進する貯蔵機能型マグネシウム生体材料の創製
研究期間 :2021年度から2024年度
共同研究機関:神戸大学、東北大学
事業名 :天田財団 塑性加工 重点研究開発助成
研究課題 :熱間圧延プロセスを使った複相ハイエントロピー合金の創形創質
研究期間 :2023年10月から2027年3月
事業名 :生体医歯工学共同研究拠点共同研究
研究課題 :新規生体用形状記憶チタン合金の開発と時効特性の解明
研究期間 :2022年度から2024年度
共同研究機関:東京工業大学
事業名 :科研費基盤(C)研究分担者
研究課題 :BCC構造を持つMg-Li-Sc合金の時効処理による高強度・高剛性化
研究期間 :2024年度から2027年度
共同研究機関:大阪産業技術研究所和泉センター