測定の流れ
3Dスキャナを使用した形状測定について、作業の大まかな流れを説明します。
測定可否の事前判断
当研究所が保有する3Dスキャナ ATOS Coreは、LEDプロジェクターから投射した縞状パターン光をカメラで撮影し、画像を解析することで立体形状を測定します。
そのため、深穴や溝といった、測定光が届かない、あるいはカメラで撮影できない部位は形状データが欠損します。
また、透明な素材や光沢面は測定できないため、金属、ガラス、つやのあるプラスチックや塗装面などに対しては、必要に応じて反射防止のため粉末スプレーを塗布する必要があります。
(吹き付けた粉末は拭き取りや水洗いで簡単に除去できます)
測定物の寸法や必要とする精度によっても、3Dスキャナ測定が適さない場合があります。事前にご相談をお願いします。
3Dスキャナ測定
1. マーカーシール貼り付け
スキャンデータを合成する際、大まかな位置合わせに使用するマーカーシールを貼り付けます。
2. 反射防止スプレー塗布
測定物表面が光沢のある場合、あるいは透明な場合、反射防止スプレーを塗布します。 スプレーは探傷剤の現像スプレー、制汗剤、PTFE、または酸化チタン粉末などを使用します。膜厚は50μmほどです。
3. 3Dスキャン
回転テーブルを使用して全方向から撮影を行います。
4. スキャンデータ統合とSTL化
各方向から撮影したスキャンデータを統合し、誤差やノイズを低減する処理を行った後にポリゴンデータ(STL形式)として出力します。
STLデータの後処理
穴埋め処理
形状モデルに空いた穴を埋める処理が行なえます。
周囲の形状からスムーズにつながるよう穴埋めされます。
また、刻印など、不要な部分を消すことも可能です。
間引き処理
出力されるポリゴンデータは膨大な点群数があるため、使用するCADソフトや3Dプリンタ用ソフトによってはファイルサイズが大きすぎて読み込めないことがあります。
こういった場合、必要に応じて間引き処理を行います。
間引き処理の方法は
- 表面公差指定
- ポイント数指定
の2種類があります。
表面公差指定の場合は、指定した公差内に収まる範囲で点群を間引きます。このとき、平面に近い部分は荒く、曲率がきつい部分は細かく分割されるため、全体の形状を保ったままデータを削減することが可能です。
ポイント数指定の場合は、指定した点群数になるまで間引き処理が行われます。この場合も、表面公差指定の場合と同じく、曲率にあわせて間引き具合が変化します。