地方独立行政法人大阪産業技術研究所 - 当法人は、(地独)大阪府立産業技術総合研究所と(地独)大阪市立工業研究所が統合し、平成29年4月1日にスタートしました。研究開発から製造まで、企業の開発ステージに応じた支援を一気通貫で提供し、大阪産業の更なる飛躍に向け、大阪発のイノベーションを創出します。

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物質・材料研究部

プラスチック材料、金属材料、および複合材料を対象とした新素材の開発ならびに加工技術の高度化を通じて、関連業界の技術支援に取組んでいます。また、各種製品の強度試験や耐久性試験、材料分析、CAE解析による設計支援などにも広く対応しています。
(物質・材料研究部長 : 平野 寛)

Q 物質・材料研究部ではどんな研究をしているのですか?
プラスチック材料の分野では、プラスチックの主要構成物であるポリマーの重合やプラスチックの複合化などを検討し、高機能化・高性能化を図った新素材の開発や射出成形技術の高度化をはじめ、成形品の内部構造を可視化する技術開発や物性への高次構造の影響の解明などに取り組んでいます。金属材料の分野では機能性材料の開発や応用技術に関する研究とともに、中小企業が得意とする二次加工分野での技術の高度化を目指し、摩擦攪拌プロセスなどの先進加工プロセスの実用化研究や新たな複合材料の開発に取り組んでいます。詳細は各研究室の案内ページをご覧ください。

Q 今後力を入れる分野は?
ものづくりを巡る国内外の環境は大きく変化しています。製造コストの高い日本では付加価値の低い製品や生産プロセスを維持できなくなってきています。一方で、消費者のニーズはますます高度化し多様化してきています。このような状況に対応するためには、新しい材料や加工技術を積極的にものづくりに導入し、オンリーワンの製品や製造技術を産み出していくことが必要です。
このようなプロセスイノベーションを実現するため、当研究部は高性能材料や機能性材料の開発に取り組むとともに、材料や製品に高い付加価値をもたらすことのできる先進加工プロセスの実用化研究に一層取り組んで行きたいと考えています。
また、循環型社会を目指したバイオマス材料や生体適合性材料の分野にも取り組みを開始しています。

材料プロセシング研究室

高性能な構造材料用・生体材料用のマグネシウム合金やチタン超弾性合金の研究・開発に取り組んでいます。また、摩擦攪拌プロセスを用いた金属表面改質技術および材料創製に関する研究を行っています。

先進構造材料研究室

摩擦攪拌接合による異種材料接合に関する研究を行っています。また、超弾性合金線材強化樹脂材料等の機能性複合材料の開発研究やフレキシブルな繊維強化プラスチックの変型挙動の数値解析による評価、さらに振動波の特性を応用する非接地型の力触覚提示装置の研究開発にも取り組んでいます。企業支援業務としては、金属材料の走査型電子顕微鏡による元素分析や蛍光X線分析、金属材料や各種製品・構造物の力学的強度試験やCAE解析、振動試験などを行っています。

プラスチック成形工学研究室

射出成形を中心とした熱可塑性プラスチックの成形加工に関わる技術開発、ならびに二軸押出機や混練機を用いたコンパウンディングやポリマーブレンドにより、耐候性や導電性などの優れた機能を有するプラスチックの創製を行っています。また高分子の高次構造と成形品の耐熱性との関連性に代表されるような基礎と実用性能とのリンクを目指した先進的な研究や、モノマー含浸法による炭素繊維強化熱可塑性樹脂の開発も行っています。その他、新製品の開発研究、成形不良対策、物性試験・流動性試験・促進耐候性試験、成形品内部構造の解析、コンピュータを用いた流動解析(CAE)などについても対応しています。

高機能樹脂研究室

熱硬化性および熱可塑性汎用プラスチックからエンジニアリングプラスチックまで高機能・高性能プラスチック新素材の開発に取り組んでいます。近年は、環境問題に貢献するオールバイオマスプラスチックをはじめ、電子機器用途で要望される高熱伝導性材料、水処理用分離膜の開発に注力しています。高分子精密合成、複合化、成形加工技術を基盤として、強靭性、耐熱性など力学的・熱的特性に優れ、接着、熱制御、分離、生分解性等の機能を付与した工業材料への展開を目指しています。
奈良先端科学技術大学院大学の連携研究室(先進機能材料研究室)を兼ねています。

主な試験・分析項目

プラスチックの分析

材料分析:蛍光X線分析、赤外分光分析(IR)、顕微IR、レーザーラマン分光分析、分子量(GPC/APC)、絶対分子量(MALS)、加熱脱着型GCMS、NMR
表面分析:光電子分光分析、分析型走査電子顕微鏡観
熱分析:TG-DTA、DSC、TMA
表面・形状観察:光学顕微鏡


プラスチックの試験

機械的性質:強度試験(引張、曲げ、圧縮)、衝撃試験、疲労試験、硬さ試験、摩耗試験、荷重たわみ温度測定、ビカット軟化温度測定、溶融体粘弾性
環境試験:耐候性試験、冷熱衝撃試験
電気的性質:電気抵抗測定、摩擦帯電圧測定
熱的性質:熱伝導率、熱拡散率、比熱


金属材料の分析

材料分析:蛍光X線分析、X線回折
表面分析:分析型走査電子顕微鏡観察


金属材料の試験

機械的性質:強度試験(引張)、疲労試験、硬さ試験、 損失係数測定(減衰法)、弾性率・剛性率測定(共振法)
組織検査:光学顕微鏡観察


機械製品の試験

荷重試験、ひずみ測定、疲労試験、振動試験、温湿度・振動複合環境試験、騒音計測(無響室)


主な機器・装置

プラスチックの加工

射出成形機、サンドイッチ射出成形機、二軸押出成形機、フィルム成形装置、樹脂混練・成形評価装置、溶融粘度測定装置、メルトインデックステスター、圧縮成形機


プラスチックの分析

フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)、FTIR(ATR法)、顕微FTIR、顕微レーザーラマン分析装置、蛍光X線分析装置(XRF)、光電子分光分析装置(ESCA, XPS)、分析型走査電子顕微鏡(SEM-EDS)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析計(MALDI TOF/MS)、NMR、TG-DTA、DSC、加熱脱着型GCMS、分子量測定装置(APC/GPC)、多角度光散乱計(MALS)、光学顕微鏡


プラスチックの試験

万能材料試験機(10, 50kN)、荷重たわみ温度試験機(HDT)、衝撃試験機、テーバー摩耗試験機、ロックウェル硬度計、デュロメーター(A型、D型)、スーパーキセノンウェザオメータ、熱伝導率測定装置、熱拡散率測定装置、溶融体粘弾性測定装置、酸素指数、高度加速寿命試験装置(プレッシャークッカー)


金属材料の加工

アーク溶解炉、非接触浮揚溶解炉、摩擦攪拌接合装置(FSW)、押出機


金属材料の分析

蛍光X線分析装置(XRF)、分析型走査型電子顕微鏡(SEM-EDS)、集束イオンビーム加工観察装置(FIB)、金属顕微鏡


金属材料の試験

万能材料試験機(100, 500kN)、疲労試験機(3, 100kN)、ロックウェル硬度計、ビッカース硬度計、内部摩擦同時測定装置、振動試験装置、温湿度・振動複合環境試験装置


その他

機械系強度・変形解析システム、無響室、精密騒音計