地方独立行政法人大阪産業技術研究所 - 当法人は、(地独)大阪府立産業技術総合研究所と(地独)大阪市立工業研究所が統合し、平成29年4月1日にスタートしました。研究開発から製造まで、企業の開発ステージに応じた支援を一気通貫で提供し、大阪産業の更なる飛躍に向け、大阪発のイノベーションを創出します。

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研究所報告(No.25)

平成23年度大阪府立産業技術総合研究所(現・和泉センター)報告(No.25)について紹介しています。

本号では、技術報告4編、技術論文4編、他誌掲載論文等概要58件、口頭発表概要167件および出願特許21件を掲載していました。

このページでは、技術報告、技術論文の一覧とその概要を掲載しております。
また技術報告、技術論文は全文をPDFファイルでご覧いただけます。

※こちらに掲載されている情報は、発行当時の内容をそのまま掲載しているため、技術内容、保有機器、組織名、担当者などが、現在のものとは異なる可能性がありますのでご了承ください。

 

(平成23年9月 発行)


冊子全体のPDFはこちら
表紙~38p<2,094KB> ②39p~90p<2,188KB> ③92p~裏表紙<1,195KB>

 

テーマ一覧

技術報告

1 メタン発酵ガスの脱炭酸システムの開発 大山将央・井本泰造
2 めっき添加剤の作用機構と表面形状制御
-“技能”から‘サイエンス’へ-
横井昌幸
3 FPGAを用いた高機能信号処理回路の開発 金岡祐介
4 オーステナイト系ステンレス鋼に対する
低温プラズマ窒化・浸炭処理
榮川元雄・上田順弘

技術論文

1 振動試験における群遅延時間を用いた非ガウス型ランダム振動生成法 細山 亮・中嶋隆勝
2 電着ダイヤモンド砥石の放電ツルーイング法の開発 渡邊幸司・南 久・平松初珠・増井清徳
3 カーボンナノコイルと先端触媒の透過電子顕微鏡観察 久米秀樹・長谷川泰則・野坂俊紀・中山喜萬
4 垂直配向カーボンナノチューブの形状に及ぼす
硝酸鉄溶液濃度とCVD温度の影響
渡辺義人・山村昌大・中山喜萬・坂井 徹

 


 

技術報告及び技術論文概要

技術報告

メタン発酵ガスの脱炭酸システムの開発
大山将央・井本泰造
  
メタン(CH4)発酵法とは,嫌気性微生物によって有機物をCH4に転換する技術であり,家畜糞尿や下水汚泥など有機性廃棄物の減量化・安定化処理法として全国で導入されている.しかし,CH4発酵ガス中には,主成分のCH4が60~70 %含まれているが,残りの30~40 %は二酸化炭素(CO2)が同時に発生するため,ガス貯蔵設備の小型化及びガスの高カロリー化を目的に脱CO2システムの必要性が高まっている.そこで,本研究では,向流式充填塔を用いて常圧下でCH4発酵ガスに含まれるCO2を水に分離する脱炭酸システムの開発をおこなった.40 m3/dayの試験装置を作製し,CO2吸収試験を行った結果,本システムにより吸収塔の充填層高さが3.2 mの装置でメタン純度94 %までの精製ガスを得ることができることがわかった.
詳細はこちらから<PDF:1988KB>
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めっき添加剤の作用機構と表面形状制御 -“技能”から‘サイエンス’へ-
横井昌幸
  
電気めっきで用いられる添加剤の作用機構について分類・整理し,実際に用いられるニッケルめっき,銅めっき,スズめっき,亜鉛めっきなどの添加剤の役割について述べる.また,半導体の内部配線や電子部品の3次元実装の分野でビアフィリング,TSVなどとしてその表面形状制御作用が特に注目されている銅めっき添加剤の作用について解説する.
詳細はこちらから<PDF:1534KB>
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FPGAを用いた高機能信号処理回路の開発
金岡祐介
  
近年,携帯電話等の通信機器の発達やゲーム機,ロボットおよび医療機器のための音声や画像処理等への要求から,デジタル信号処理の必要性がますます高まっている.多くの場合,CPU (Central Processing Unit)を用いたソフトウェアによる演算がデジタル信号処理を担ってきた.しかし近年,安価でかつ現場開発が可能なハードウェアであるFPGA (Field Programmable Gate Array)と呼ばれるデジタル信号処理用の集積回路が登場し,ハードウェアによるデジタル信号処理が取り扱い易くなってきた.ここでは,ソフトウェアとハードウェアそれぞれの処理についての比較とFPGA を用いる利点を述べ,FPGA の構造や設計について簡単に解説する.また,FPGA の信号処理システムへの応用例として,超音波センサと赤外線センサを用いた人体と障害物を検知するセンシングシステムと,人体追尾ロボットへの応用の開発例を紹介する.
詳細はこちらから<PDF:1340KB>
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オーステナイト系ステンレス鋼に対する低温プラズマ窒化・浸炭処理
榮川元雄・上田順弘
  
オーステナイト系ステンレス鋼は耐食性に優れた鋼材として幅広い用途に用いられているが,硬さが低く耐摩耗性に劣るという欠点があった.低温プラズマ窒化法および低温プラズマ浸炭法は,オーステナイト系ステンレス鋼の表面に高い硬度と耐摩耗性,耐食性を併せ持つ表面硬化層(S相)を形成できる手法である.当研究所では,これらの方法に関して基礎的な特性評価と市販の製品への応用について研究開発を行った.基礎的な特性評価としては,添加合金元素の異なる数種類のオーステナイト系ステンレス鋼を対象にプラズマ処理条件と形成層の特性の関係について調べた.浸炭によるS相と窒化によるS相において,硬さや靭性などの特性が異なることが知られていたが,その差異が両者の生成機構に起因することを明らかにできた.また,本方法の応用として,木造建築家屋に耐震補強金具を締結するタッピンねじへの適用を検討した.SUSXM7製のタッピンねじに低温プラズマ浸炭処理,窒化処理を施した結果,耐食性と表面硬度,内部靭性のいずれの特性にも優れたタッピンねじの開発に成功した.
詳細はこちらから<PDF:3649KB>
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技術論文 

振動試験における群遅延時間を用いた非ガウス型ランダム振動生成法
細山 亮・中嶋隆勝
  
製品を安全に消費者に届けるために包装が施され,包装された製品の安全性を事前に確認するために振動試験が実施される.しかし,振動試験を行ったにもかかわらず,実際に輸送を行うと製品が損傷している場合があり,現状の振動試験では実際の輸送中に生じる製品の損傷を完全に再現できているとは言い難い.その原因として,振動試験と実輸送では生じる加速度波形が異なることが挙げられる.すなわち,振動試験で発生する振動は常にガウス分布に従うのに対し,実際の輸送では衝撃的な振動が発生するため確率密度分布は非ガウス分布となる場合が多い.そこで本研究では,非ガウス性の指標として尖度を考慮した非ガウス型ランダム振動生成法を提案した.さらに提案した方法により,実測振動のパワースペクトル密度に基づいて非ガウス型ランダム振動を生成し,提案法と実測振動の確率密度分布について再現性を検証した.その結果,提案法では実測振動の確率密度分布に近い分布を有する振動を生成できることが確認できた.
詳細はこちらから<PDF:1830KB>
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電着ダイヤモンド砥石の放電ツルーイング法の開発
渡邊幸司・南 久・平松初珠・増井清徳
  
電着ダイヤモンド砥石は,砥粒突き出し高さを均一に揃えるための適切なツルーイング方法がないため,現状では高精度加工に利用することができない.本研究では突出したダイヤモンド砥粒の先端部だけを選択的に放電加工する新しい放電ツルーイング法を提案し,その可能性と有効性について検討した.その結果,放電加工でダイヤモンド砥粒の突き出し高さを均一化することが可能であり,ツルーイングした電着ダイヤモンド砥石を用いることで,研削加工面の表面粗さを改善できることがわかった.
詳細はこちらから<PDF:3357KB>
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カーボンナノコイルと先端触媒の透過電子顕微鏡観察
久米秀樹・長谷川泰則・野坂俊紀・中山喜萬
  
カーボンナノコイル(CNC)は,ナノメートルオーダーの炭素繊維がらせん状に成長したものである.その結晶性について,透過電子顕微鏡(TEM)による高分解能TEM(HRTEM)ならびに制限視野電子回折図形から,多層カーボンナノチューブ(MWCNT)との比較の観点から評価した.CNCの結晶性は,線径等により2種類に区別できる.すなわち,比較的線径の細いCNCは,HRTEM像から明瞭なグラファイト層が確認でき,MWCNTがらせん状に成長した微細構造を有していた.その細部を詳細に観察すると,多数の格子欠陥が存在することが明らかになった.一方,比較的線径の太いCNCは,数nmオーダーの比較的短い周期のグラファイト層構造が見られ,完全なアモルファス構造でないことがわかった.さらに,CNC先端触媒についてもTEM観察を行い,その触媒形状からCNC成長機構を考察した結果についても言及する.
詳細はこちらから<PDF:1825KB>
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垂直配向カーボンナノチューブの形状に及ぼす硝酸鉄溶液濃度とCVD温度の影響
渡辺義人・山村昌大・中山喜萬・坂井 徹
  
これまでに,熱CVDにより垂直配向カーボンナノチューブを合成する際に,硝酸鉄の溶液をシリコン基板上に塗布して成膜した鉄触媒層から合成できることを見いだした.今回,垂直配向カーボンナノチューブの熱CVDによる合成において,硝酸鉄溶液の濃度およびCVD温度が垂直配向カーボンナノチューブの形状に与える影響の調査を目的として実験を行った.熱CVDにより得られた垂直配向カーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡により観察し,層数および直径の分布を調べた.その結果,カーボンナノチューブの直径分布は,シリコン基板に塗布する硝酸鉄溶液の濃度により変化した.また,熱CVD温度が高くなるほど,カーボンナノチューブの層数および直径の分布が大きい方に広がっていく傾向があった.シリコン基板に塗布する硝酸鉄溶液の濃度とシリコン基板上に形成される触媒層の膜厚は,比例関係にあることがICP発光分析を用いて確認できたため,硝酸鉄溶液の濃度調整によるカーボンナノチューブの直径分布の制御について考察する.また,熱CVDの温度を変化させることにより,カーボンナノチューブの直径および層数の分布を制御できる可能性について考察する.
詳細はこちらから<PDF:2099KB>
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