地方独立行政法人大阪産業技術研究所 - 当法人は、(地独)大阪府立産業技術総合研究所と(地独)大阪市立工業研究所が統合し、平成29年4月1日にスタートしました。研究開発から製造まで、企業の開発ステージに応じた支援を一気通貫で提供し、大阪産業の更なる飛躍に向け、大阪発のイノベーションを創出します。

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研究所報告(No.23)

平成21年度大阪府立産業技術総合研究所(現・和泉センター)報告(No.23)について紹介しています。

本号では、技術報告3編、技術論文7編、他誌掲載論文等概要59件、口頭発表概要199件および出願特許6件を掲載していました。

このページでは、技術報告、技術論文の一覧とその概要を掲載しております。
また技術報告、技術論文は全文をPDFファイルでご覧いただけます。

※こちらに掲載されている情報は、発行当時の内容をそのまま掲載しているため、技術内容、保有機器、組織名、担当者などが、現在のものとは異なる可能性がありますのでご了承ください。

 

(平成21年9月 発行)


冊子全体のPDFはこちら
表紙~72p<3,955KB> ②73p~裏表紙<1,991KB>

 

テーマ一覧

技術報告

1 ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜のトライボロジー特性 三浦健一・出水 敬・中村守正・石神逸男
2 製品中の化学物質管理動向
-REACH規則,化審法,化管法の概要と分析法-
中島陽一・林 寛一・小河 宏
3 木質系廃棄物のガス化技術 井本泰造・大山将央・岩崎和弥・宮内修平

技術論文

1 狭隘部のX線残留応力測定技術 小栗泰造
2 超精密ラスター切削加工における仕上げ面粗さ限界 本田索郎・山口勝己・足立和俊
3 廃棄物最終処分場キャッピング用ジオコンポジットの斜面適用性 西村正樹・赤井智幸・嘉門雅史
4 殺菌タンパク質HE2β1を用いた薬剤耐性菌の殺菌技術の開発 井川 聡・深田 尚
5 褥瘡予防静止型マットレスの圧縮特性 木村裕和・山本貴則・片桐真子・平井 学・北野美代子
6 立体構造を有する三次元有機トランジスタ 宇野真由美・竹谷純一
7 低合金鋼表面に析出した煤の影響を考慮した
真空浸炭モデルの構築とその検証
横山雄二郎・水越朋之・石神逸男・碓井建夫

 


 

技術報告及び技術論文概要

技術報告

ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜のトライボロジー特性
三浦健一・出水 敬・中村守正・石神逸男
  
DLC膜はトライボロジー特性をはじめ,様々な優れた特性を示すことから,広範な分野で実用化研究が進められており,これまでのドライコーティング膜にはない広がりを見せている.しかし,DLC膜は様々な炭素系アモルファス膜の総称となっていることから,従来のハードコーティング膜に比べて幅広い諸特性を持ち得るという特徴を有している.このため,被覆技術の観点からすると,要求性能に応じた膜質に制御することが特に重要となる.当研究所では比較的広範な膜質制御が可能なアンバランスドマグネトロン(UBM)スパッタ法により形成されるDLC膜(a-C:H膜)に関して,成膜条件と膜質との関係を詳細に調査している.特に,DLC膜の膜質制御に関する基礎的知見を提示するため,成膜条件と膜質との間に潜在する本質的な膜質支配因子をも明らかにすることを試みている.本稿では,筆者らがDLC膜のトライボロジー特性に関して取り組んできた内容の一部として,DLC膜のトライボロジー特性に及ぼす雰囲気環境の影響,摩擦特性のラマンGピーク位置依存性,そして,多層被覆によるトライボロジー特性向上に関する検討結果について報告する.
詳細はこちらから<PDF:1039KB>
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製品中の化学物質管理動向
-REACH規則,化審法,化管法の概要と分析法-
中島陽一・林 寛一・小河 宏
  
EUにおいて,RoHS指令が2006年に発効し,電気,電子機器中の鉛,六価クロムなど6物質が規制された.さらにEUでは,今まで問題視されなかった一般的な化学物質も管理対象とするREACH規則も施行された.我が国でも化審法,化管法が改正され,より総合的な化学物質管理がなされようとしている.このように製造業での化学物質管理は,業種を問わず避けて通れない問題となってきている.本報文ではREACH規則,化審法,化管法など総合的な化学物質管理の概要を述べる.また,新たに加わった規制対象有害物質を含め,一般的に問題視される化学物質についてその性質と分析法を概説する.
詳細はこちらから<PDF:452KB>
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木質系廃棄物のガス化技術
井本泰造・大山将央・岩崎和弥・宮内修平
  
現在,地球温暖化防止,循環型社会の形成等の観点から,カーボンニュートラルという性質を有しているバイオマスの利用が注目されている.本研究では,都市部に多く発生する建築系廃木材に注目し,炉内に還元層が形成できる,ダウンドラフト型固定床式ガス化炉を試作し,ガス化剤(空気,酸素富加)を変化させ,ガス化試験を行った.その結果,高濃度のH2及びCOガスが得られることが確認でき,メタノールやジメチルエーテルの液体燃料合成の可能性があることがわかった.
詳細はこちらから<PDF:673KB>
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技術論文 

狭隘部のX線残留応力測定技術
小栗泰造
  
X線応力測定法は残留応力の非破壊測定手法として広く利用されている.しかし,この手法を適用するには,測定表面が平坦かつ滑らかであること,X線入射角の広範な変化を妨げるような障害物が測定面周辺にないことが必要である.このため,複雑形状を有する機械部品の残留応力を測定するには,これらの条件を満たすように被測定物の一部を切除等するか,障害物があっても適用できる測定技術を採用する必要がある.前者の解決手段では,破壊を伴うため,非破壊であることを特徴とする X線応力測定法を用いる利益が半減してしまう.後者としては,φ-sin2ψ法がよく知られている.しかし,この手法では,測定面法線と ψ角の走査平面とは平行でなければならず,被測定物の形状によってはこの条件を満たせないことがある.このような背景の下,著者らは,破壊を要せず,測定面法線とψ角の走査平面とが平行でなくてもよい狭隘部のための測定手法を考案した.本稿では,その原理,効果,および適用条件について説明するとともに,狭隘部応力測定法を着想する契機となった曲面部応力測定の研究について述べる.
詳細はこちらから<PDF:777KB>
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超精密ラスター切削加工における仕上げ面粗さ限界
本田索郎・山口勝己・足立和俊
  
単結晶ダイヤモンド工具による超精密ラスター切削加工は,非軸対称非球面形状の光学部品の高精度・高能率加工に利用されているが,加工精度の到達限界やその決定要因等は明らかにされていない.本研究では,ラスター切削における仕上げ面粗さ(最大高さRz)に着目し,粗さの到達限界と決定要因を実験と解析によって検討した.まず無酸素銅の平面切削実験と切削痕形状の幾何学的解析を行った結果,最大高さRzの最小限界値は約12 nmであり,この限界値は切削中の切込み深さの変動で決定されていることが明らかとなった.次にこの切り込み変動の発生原因を解明するため,工具スピンドルの振動特性計測,切削力の精密測定,工具スピンドルの回転振れ測定を行い,以下の結果を得た.工具スピンドルの共振点は加工時の工具回転周波数より十分高いため,加工中にスピンドルの共振は起こらない.断続切削の衝撃力や,切削力の変動に起因する工具の切り込み方向の位置変動は4 nm以下である.工具スピンドルの半径方向(切り込み方向)の回転振れは約10 nm存在し,これが仕上げ面粗さの限界値(Rz:12 nm)の大部分を占める.
詳細はこちらから<PDF:843KB>
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廃棄物最終処分場キャッピング用ジオコンポジットの斜面適用性
西村正樹・赤井智幸・嘉門雅史
  
廃棄物の埋め立てが終了した最終処分場においては,閉鎖時に最終カバー層が設置される.この最終カバー層には,廃棄物からの発生ガスを系外に速やかに排出するとともに,雨水の浸透を抑制する機能が必要とされ,この用途に適用可能な,安全で信頼性が高く,かつ低コストのキャッピング材料の開発が求められている.筆者らは,ガス透過性と遮水性を有する多孔質シートと,多孔質シートを保護し施工耐久性を付与する不織布から成る複合材料(ジオコンポジット;以下,「GC」と称す.)を開発し,室内実験および屋外実験によって,その基本性能ならびにキャッピング材料としての適用性を評価してきた.通常,廃棄物最終処分場に最終カバーをする場合,その最上層には覆土が設置される.したがって,斜面部において,GCをキャッピング材料として使用した場合,GCが遮水性を有することに由来して,GCと覆土の界面が潜在的すべり面になると考えられる.特に,降水による影響が懸念されるので,GCを敷設した斜面に関し,自然環境下での安定性の検証が重要である.本論文では,屋外の実験斜面に実際にGCを敷設し,その斜面適用性を自然環境下で評価した結果について述べる.
詳細はこちらから<PDF:1141KB>
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殺菌タンパク質HE2β1を用いた薬剤耐性菌の殺菌技術の開発
井川 聡・深田 尚
  
近年,医療現場における薬剤耐性菌出現は大きな問題となっており,院内感染による死亡例も数多く報告されている.中でも緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は従来から薬剤耐性の高さが指摘されており,有効な殺菌手段の開発が期待されている.当研究グループではヒトの精子結合タンパク質であるHE2β1が大腸菌(Escherichia coli)に対して殺菌活性を有することに着目し,このタンパク質を用いたP. aeruginosaの殺菌技術の開発を進めている.本研究ではHE2β1の遺伝子をクローニングし,E. coliで用いた組換えタンパク質発現系を作成した.得られた組換えHE2β1は不溶性のinclusion bodyとして生産されるため,変性剤による可溶化および多段階透析法によるrefolding処理を行い,活性型HE2β1を調製した.得られたHE2β1はP. aeruginosaに対して高い殺菌活性を示しただけでなく,10分間の煮沸による熱処理や高濃度の界面活性剤の添加などに対しても高い安定性示し,殺菌剤として様々な分野での利用が可能であることが明らかとなった.
詳細はこちらから<PDF:477KB>
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褥瘡予防静止型マットレスの圧縮特性
木村裕和・山本貴則・片桐真子・平井 学・北野美代子
  
褥瘡(床ずれ)は,寝たきりや寝たきりに近い状態の要介護高齢者などに頻発する病態である.医学的には持続的圧迫による人体局所の虚血性皮膚壊死とされている.したがって,その予防には寝具などから人体局所に長時間にわたり集中的に加わる圧力を緩和することが重要となる.そこで,これまでに寝具から人体に加わる圧力を分散させ,応力集中を回避するタイプの褥瘡予防体圧分散マットレスが開発されてきた.それらの体圧分散性や減圧効果については議論されているもののマットレスの圧縮率や圧縮弾性率などの機械的性質と人体局所に加わる応力や皮下組織内微小循環との関係性に関する研究例は見当たらない.そこで,今回,非破壊でマットレスの機械的性質を計測できる装置を考案,作製した.そして6種類の静止型体圧分散マットレスを試料として,褥瘡の最好発部位である人体仙骨部を中心にマットレスの減圧効果を調べるとともに試料マットレスの圧縮率,圧縮弾性率,圧縮による厚さ減少率を求め,これらと人体仙骨部に加わる接触圧ならびに仙骨部組織血流量との関連性について検討を加えた.
詳細はこちらから<PDF:479KB>
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立体構造を有する三次元有機トランジスタ
宇野真由美・竹谷純一
  
有機半導体トランジスタは,フレキシブルなデバイスへ適用でき,製造プロセスの環境負荷を現在のSi系半導体のプロセスに比べて圧倒的に小さくできるため,現在非常に活発に研究開発がなされている.しかし,有機半導体薄膜のキャリア移動度は,最大でも1~3 cm2/Vsと低く,動作電流を大きくできないことが実用上大きな課題となっている.これを解決するため,基板上に微細な立体構造を作製し,その側面全てをチャネルとして用いることによって,同じデバイス面積あたりに得られる動作電流を桁違いに増大させた3次元有機トランジスタを開発した.有機半導体として,電界効果移動度が約1~2 cm2/Vsと有機半導体薄膜としては最高レベルの性能を示し,大気中でも非常に安定であることが知られている縮環チオフェン系の材料(DNTT)を用い,縦型構造上での移動度 約0.5 cm2/Vsの比較的高い値を得た.この結果,出力電流値が 60 μA/100 μm角と,実用上の要求仕様 (1 μA/100 μm角)をはるかに超える性能を達成した.
詳細はこちらから<PDF:568KB>
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低合金鋼表面に析出した煤の影響を考慮した
真空浸炭モデルの構築とその検証
横山雄二郎・水越朋之・石神逸男・碓井建夫
  
真空浸炭法は大気汚染防止や省資源・省エネルギーにきわめて有効な技術として注目されてはいるが,制御性が劣るために十分普及するまでにはいたっていない.本研究は,炭素濃度分布を計算する解析手法を確立し,真空浸炭法の制御性向上に取り組むものである.まず浸炭挙動を忠実に表現しうる解析モデルを構築し,炭素濃度分布の数値計算手法を確立した.低炭素鋼では計算値と実測値との一致度は非常に良好であるが,広く用いられている低合金鋼ではかなりの食い違いを生じる.そこで,低合金鋼SNCM815に対してプロパンを用いて真空浸炭を行い,低合金鋼での計算精度の劣化は浸炭時に鋼表面に析出した煤がその後の拡散処理時に鋼内部へ固溶していくことが原因であることを明らかにした.そのうえで,煤の固溶を考慮した浸炭モデルを再構築するとともに,それに基づいた数値計算結果は実測値とよく一致することがわかった.さらに,新たな浸炭モデルによると,浸炭時間と拡散時間の比が一定であれば表面炭素濃度は同じ値を示すという規則性は低合金鋼においても成立することがわかった.これによって,広範な鋼種に対して真空浸炭法の制御性を向上させることができた.
詳細はこちらから<PDF:692KB>
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