地方独立行政法人大阪産業技術研究所 - 当法人は、(地独)大阪府立産業技術総合研究所と(地独)大阪市立工業研究所が統合し、平成29年4月1日にスタートしました。研究開発から製造まで、企業の開発ステージに応じた支援を一気通貫で提供し、大阪産業の更なる飛躍に向け、大阪発のイノベーションを創出します。

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研究所報告(No.18)

平成16年度大阪府立産業技術総合研究所(現・和泉センター)報告(No.18)について紹介しています。

本号では、技術報告6編、技術論文10編、他誌掲載論文等概要88件、口頭発表概要256件および出願特許12件を掲載していました。

このページでは、技術報告、技術論文の一覧とその概要を掲載しております。
また技術報告、技術論文は全文をPDFファイルでご覧いただけます。

※こちらに掲載されている情報は、発行当時の内容をそのまま掲載しているため、技術内容、保有機器、組織名、担当者などが、現在のものとは異なる可能性がありますのでご了承ください。

 

(平成16年11月 発行)


冊子全体のPDFはこちら
表紙~46p<4,281KB> ②47p~96p<3,311KB> ③97p~148p<3,195KB> ④149p~裏表紙<4,195KB>

 

テーマ一覧

技術報告

1 ナイロンの構造変化と力学物性変化
-ブリル転移に着目して-
吉岡弥生・田代孝二
2 フェントン反応を利用した染色排水の高度脱色処理技術 呼子嘉博・林 寛一・中島陽一
岩崎和弥・山崎 清・興津健二
3 廃棄物処分場 一体型複合遮水シート工法の開発 赤井智幸・松本 哲・前田 敏・嘉門雅史
4 耐アーク性時間の統計的検討 村上義夫
5 ナノカーボン材料の合成 野坂俊紀・末金 皇・中山喜萬
6 化学的に修飾したセルラーゼによるセルロース系繊維の酵素加工 菅井実夫

技術論文

1 色彩心理学的アプローチによる中小製造業PRホームページの設計手法 吉野正紀
2 曲面のX線残留応力測定 小栗泰造・村田一夫・佐藤嘉洋
3 プラズマ溶射されたアルミナの溶融形状と皮膜組織 足立振一郎
4 使用済み印刷製版フィルムからの銀とPETの回収
-耐熱性アルカリプロテアーゼを用いたフィルムのゼラチン層の
酵素加水分解における反応動力学とメカニズム- 
増井昭彦・藤原信明・安田昌弘・石川治男
5 UMLによる高次脳機能障害患者用の徘徊看視システムの開発 朴 忠植・石島 悌・鈴木恒彦・平井道恭
6 高出力レーザビーム整形のための曲面上CGHの開発 萩野秀樹・朴 忠植・加藤暢宏
三俣真理・菊田久雄・岩田耕一
7 共沈法により作製した
アルミナ-ジルコニア複合粉末の放電プラズマ焼結
西川義人・久米秀樹・宮本大樹
Sebastian Diaz de la Torre
8 防食性ダイヤモンドライクカーボン薄膜の開発と
そのセンサ保護膜としての応用
松永 崇・野坂俊紀・岡本昭夫
9 プラズマCVD法によるポリカーボネート上へのDLC膜の形成 田原 充・出水 敬・グエン クォン キェ
10 タオル製品の毛羽落ち試験法の規格化およびタオル構成要素と
洗濯脱綿率の調査
馬渕伸明・宮崎克彦

 


 

技術報告及び技術論文概要

技術報告

ナイロンの構造変化と力学物性変化 -ブリル転移に着目して-
吉岡弥生・田代孝二
  
ナイロンの多くは,いわゆるブリル転移を引き起こす.ブリル転移においては,水素結合を保持したまま,分子鎖が高温で秩序・無秩序構造変化をするとのモデルが有望であるが,転移の詳細は依然としてよく理解されていない.著者らは,ナイロンおよびそのモデル化合物を用い,この転移における結晶構造変化を赤外・X線回折・熱分析などを用いて明らかにした.その結果,ブリル転移はこれまで言われてきたような一定の決まった温度で生じる相転移ではなく,複雑な構造変化を伴いながら広い温度域で生じる転移であるということが明らかとなった.また,力学物性についても分子動力学計算を行った結果,ブリル転移における構造変化と力学物性変化には密接な関係があることが明らかとなった.ナイロンは高温域において力学物性が大きく低下することはこれまでにも報告されているが,本研究の結果はこれらの改善を目的とする材料設計において有用な情報となり得る.
詳細はこちらから<PDF:379KB>
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フェントン反応を利用した染色排水の高度脱色処理技術
呼子嘉博・林 寛一・中島陽一
岩崎和弥・山崎 清・興津健二
  
近年,水環境の着色性,臭気,発泡性などのアメニティを損なう要素が問題視され,河川,ため池などの水資源環境を保全する立場からも,環境負荷が少ない染色排水の脱色技術を確立することが望まれている.本報告では,吸尽性が低く特に脱色が求められる市販反応染料64種についてフェントン法による脱色性について検討した.その結果,モデル排水ではきわめて良好な脱色性を示すことがわかった.また,通常使われる鉄(Ⅱ)のみならず鉄(Ⅲ)でも,反応速度は遅いものの脱色が進行することがわかった.さらに光フェントン法では,鉄(Ⅲ)化合物でも鉄(Ⅱ)化合物と同様に顕著な脱色性を示し,通常のフェントン反応では不十分なTOCもかなり減少し無機化が進むことがわかった.光・フェントン反応では鉄(Ⅲ)が鉄(Ⅱ)に再生されるので,効率よくOHラジカルが生成する.一方,超音波処理法によっても脱色が進行し,殊にフェントン法の応用技術として超音波処理の系に硫酸鉄(Ⅱ)を添加することにより速やかに脱色が進むことが示された.これらの処理法は環境負荷の小さい処理法として実用化が期待できる.
詳細はこちらから<PDF:593KB>
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廃棄物処分場 一体型複合遮水シート工法の開発
赤井智幸・松本 哲・前田 敏・嘉門雅史
  
我が国の廃棄物処分場の遮水工には二重の遮水シートを敷設する方法(遮水シート工法)が多用されている.しかし,この方法は二重の遮水シートのみで遮水性を担保するものであり,十分な安全性という点で問題があることが指摘されている.一体型複合遮水シートは,従来工法の問題点を解消するために二重の遮水シート間に遮水性能の高い高分子材料(ポリウレタン)を注入して遮水性中間保護層を形成したもので,三層の遮水構造であり,可とう性(地盤変状追随性)が大きいので特に海面処分場への適正が高い.ここでは,一体型複合遮水シートを用いた鉛直遮水壁の実規模現地施工実験の結果を中心に,それに基づく鉛直遮水工法に係わる内容を報告する.
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耐アーク性時間の統計的検討
村上義夫
  
絶縁材料の絶縁性評価の一つである,高電圧・小電流アークによる耐アーク性時間の測定は,材料のトラッキング性能の評価に欠かせない項目の一つである.この耐アーク性時間の測定データばらつきを統計的に評価することによって,試験回数を多く取ることにより,複合材料における特徴的な分布が見いだし易くなることを明らかにした.また,試料近傍への送風の影響についてもそのばらつきを統計的に検討することで,その影響度を評価し,軽微な送風ではその影響がほとんど無いことを確認した.
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ナノカーボン材料の合成
野坂俊紀・末金 皇・中山喜萬
  
近年,飯島教授(現在:名城大学)により発見されたカーボンナノチューブは大量合成が実施され,実用化段階に達している.すで走査型プローブ顕微鏡の探針や樹脂複合材に用いた商品が販売されているのが現状である.これは,カーボンナノ材料(カーボンナノチューブ,カーボンナノコイルなど)の非常に優れた電気的、熱伝導、機械的特性による.ここでは,カーボンナノチューブ、カーボンナノコイルについて簡単に説明するとともに、基板上に結晶性の良好なカーボンナノチューブを高密度、高速に合成する方法および均一で、細いコイル径を持つカーボンナノコイルの合成方法を新しく開発したので,それらの結果について解説する.
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化学的に修飾したセルラーゼによるセルロース系繊維の酵素加工
菅井実夫
  
酵素による繊維の加工は,羊毛繊維や合成繊維ではまだ開発途上の感があるが,綿などのセルロース系繊維では定番化した技術になっている.本報では,はじめにここ十数年のセルラーゼによる繊維の加工(改質)方法の流れを総説する.さらに発表者らが研究した水溶性高分子による化学修飾酵素の特性を述べるが,大きな一つの特徴として中性セルラーゼとして作用することが可能であることもわかったので,ホウ酸でpH7.0の条件で染色加工実機を用いてラミー生地(麻の一種)を加工した.その結果,繊維強度をあまり損ねることなく消費性能のひとつである“風合い”を改変したことについても紹介する.
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技術論文 

色彩心理学的アプローチによる中小製造業PRホームページの設計手法
吉野正紀
  
中小製造業のホームページ活用が現実には遅れており,そのため自社ホームページを公開したいというニーズはたいへんに強いものがある.また情報技術活用の容易化手法開発における経験からもホームページの簡易な作成手法が要望されている.ここではホームページを企業PRに限定し,一枚もののチラシをイメージしたフォーマット作成を目指した.ホームページの差別化を図るために色彩心理学的アプローチを援用して,企業イメージを表現した配色を考察しプロトタイピングを行なったが,配色の考察には日本カラーデザイン研究所の小林氏らが提案している手法を準用し,企業イメージを言語で表現した上で配色に展開し企業の個性を表現した.
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曲面のX線残留応力測定
小栗泰造・村田一夫・佐藤嘉洋
  
X線応力測定法は,残留応力を非破壊で測定し得る手法として一般に広く用いられているが,この手法の適用にあたっては,測定表面が平坦であること,および測定応力方向にX線入射角を変化させることが必要である.このため,湾曲面・狭隘部など,複雑な形状を有する実用機械部品を測定する場合には,測定部の曲率に起因した応力測定誤差や,試料自体によるX線経路の遮断が問題となることが多く,幾何学的影響を回避あるいは補正する必要が生じる.本稿では,この問題に対する基本的情報として,曲面でのX線回折における幾何学影響因子と,X線応力測定データ(回折プロファイル,2θ-sin2ψ 線図,および測定応力値)に現れる幾何学的影響の特徴を単純な曲面の場合について明らかにする.また,複雑形状物の応力測定に対処する方法として,X線経路が遮断されがちな湾曲方向にX線を傾斜させることなく,湾曲方向応力を推定する方法-照射面積変化法-,および湾曲方向応力分布を推定する方法-湾曲面内多点測定法-を提案する.
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プラズマ溶射されたアルミナの溶融形状と皮膜組織
足立振一郎
  
高品質で信頼性のある溶射皮膜を作製するためにはプラズマジェット中におけるアルミナの溶融や基材上における凝固の現象,これらの積層により形成される皮膜の組織と構造について解明することが必要である.そこで,溶射中に捕集した粒子,皮膜表面におけるアルミナの溶着粒子の形態や皮膜の組織や構造の観察を行った.その結果,捕集した粒子は溶射距離が長くなるほど粒径が大きくなることが認められた.皮膜の相をX線回折により調べたところα相とγ相が認められ,プラズマ出力20kWの皮膜では溶射距離が長くなるにつれてX線回折強度に占めるγ相の比率が増加した.一方,プラズマ出力26kWと31kWの皮膜ではX線回折強度の大部分はγ相であり,α相は若干であった.溶着粒子はプラズマ出力が高く溶射距離が短い方が十分に偏平化した状態で凝固していた.皮膜の破断面には溶着粒子が偏平化していたプラズマ出力が高く溶射距離が短い皮膜の方が,ラメラー層の境界に割れなどの欠陥が少なかった.
詳細はこちらから<PDF:1076KB>
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使用済み印刷製版フィルムからの銀とPETの回収
-耐熱性アルカリプロテアーゼを用いたフィルムのゼラチン層の
酵素加水分解における反応動力学とメカニズム-
増井昭彦・藤原信明・安田昌弘・石川治男
  
使用済み印刷製版フィルムには,銀とポリエチレンテレフタレート(PET)が含まれている.しかし現在,これらはリサイクルされていない.そのため,使用済み印刷製版フィルムから,銀とPETを分別回収するプロセスの開発が期待されている.そこで,酵素を用いた有用なプロセスを開発するため,好アルカリ性Bacillus sp. B21-2由来のアルカリプロテアーゼの熱安定化した変異酵素を用いて,印刷製版フィルムのゼラチン層の酵素加水分解実験を行った.その結果,印刷製版フィルムのゼラチン層の加水分解速度は,酵素濃度と反応温度が高くなるにつれて大きくなることが明らかとなった.また,印刷製版フィルムは,ゼラチン層の強固な架橋構造のため,X線フィルムの場合よりもゼラチン層の加水分解に時間を要することもわかった.さらに,変異酵素の方が,野生型酵素に比べて,フィルムのゼラチン層を迅速に分解することが明らかとなった.最後に,それぞれの分解反応速度の解析を行い,酵素を用いた工業的プロセスを設計するための基礎的なデータを得た.
詳細はこちらから<PDF:450KB>
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UMLによる高次脳機能障害患者用の徘徊看視システムの開発
朴 忠植・石島 悌・鈴木恒彦・平井道恭
  
高次脳機能障害(交通事故などで脳に損傷を受け,記憶や言語などに後遺症が残る障害)を有する人がリハビリテーションのために入院している病院では,障害から起因する患者の徘徊行動による,患者の安全性および病院スタッフの負担が大きな問題となっている.そこで,大阪府立身体障害者福祉センターと共同で,入院している高次脳機能障害者の徘徊を検知し,危険防止のために看護スタッフに通報するシステムの開発に関する研究を行った.RFID(Radio Frequency Identification無線による個人認証)の個人識別機能と人感センサの組み合わせによる看視対象者の単独での外出を検知する方法を提案した.また,柔軟なシステム構成の決定を目的とした,UML(Unified Modeling Language)によるシステムの設計を行った.そして,看視システムを試作し,システム効果の確認と改善すべき問題点に関するデータを得た.
詳細はこちらから<PDF:601KB>
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高出力レーザビーム整形のための曲面上CGHの開発
萩野秀樹・朴 忠植・加藤暢宏・三俣真理・菊田久雄・岩田耕一
  
レーザ加工を行う場合に,レーザ光の強度分布を加工対象に適した分布にすることによって,加工品質や加工効率を向上させることができる.本研究では,高出力炭酸ガスレーザ光の強度分布を所望の分布に整形する回折型光学素子の開発を行った.素子は高出力レーザに使われる銅の放物面鏡上に,2レベルの計算機ホログラム(CGH)を作製したものである.CGHは,段差3.75μm,一辺が80μmの正方形のピクセル256×256個で構成されている.本素子は,高出力レーザに適用する際の冷却特性を上げるために素材として銅を選択した.また,基板を放物面鏡にすることで,一つの素子に集光の機能とビーム整形の機能を持たせることを容易にした.素子の作製では,CGHパターンの描画に3次元レーザ描画装置を用い,凹凸形状の作製にエッチストップ層を用いたエッチングプロセスを利用した.実際に,ガウス分布の炭酸ガスレーザ光を,一方向には一様強度,その直交方向にはガウス分布をした矩形形状に整形する素子を作製し,出力10Wの炭酸ガスレーザと赤外線カメラを用いて,素子の評価実験を行い,設計通りの大きさにビーム整形できていることを確認した.
詳細はこちらから<PDF:1193KB>
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共沈法により作製したアルミナ-ジルコニア複合粉末の放電プラズマ焼結
西川義人・久米秀樹・宮本大樹・Sebastian Diaz de la Torre
  
Al2(SO4)3・8H2O,Zr(SO4)2・4H2O,Y(NO3)3・6H2Oの混合水溶液と市販のアルミナ粉末(平均粒子径0.6mm)を混合した泥しょうに,Na(OH)水溶液を加えて共沈させ,アルミナ粒子表面に水酸化物沈澱を付着させた.これを乾燥後,大気中600℃で仮焼して,アルミナ粒子表面が50nm程度のジルコニア系微粒子で覆われたアルミナ-ジルコニア系複合粉末(Al2O3/ZrO2(3mol%Y2O3)=80/20wt%)を作製した.このアルミナ-ジルコニア系複合粉末に,低温・短時間焼成が可能な放電プラズマ焼結法を適用して,常圧焼成で作製したものよりも強度の高い焼結体を作製することを目的とした.1分当たり100℃の昇温速度,焼結温度1400℃,保持時間0分の条件で焼結を行い,相対密度99%,3点曲げ強度約1.3GPa(平均値)の高強度緻密焼結体を作製できた.この強度値は,同じ複合粉末を用いて最適条件で作製した常圧焼結体の約1.5倍の高い値である.SEM観察の結果,焼結体のアルミナ結晶粒子径は1μm以下であり,主に結晶粒微細化効果が高強度化に寄与していることを明らかにした.
詳細はこちらから<PDF:739KB>
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防食性ダイヤモンドライクカーボン薄膜の開発とそのセンサ保護膜としての応用
松永 崇・野坂俊紀・岡本昭夫
  
ダイヤモンドライクカーボン(以下DLC)薄膜が,耐薬品性に優れることを利用して,これを防食性保護膜として用いることを試みた.DLC薄膜の作製には,プラズマCVD法を用いた.基板(SUS631)上にCr層,SiC層を交互に多層化し,その上にDLC層を2μm成膜した.次に試料の超音波洗浄を行い,さらにDLC層を4μm成膜した.作製した試料を酸(HCl,HF,HNO3,H2SO4),アルカリ(NaOH,KOH)水溶液に72時間浸漬し,浸漬後の溶液中の元素をICP分光分析法を用いて測定した.その結果,ICP分光分析装置の実用上の測定限界(約10-1ppm)以下の値が得られた.また,臨界不働態化電流密度法を用いた場合も,同様に測定限界以下の結果が得られた.以上の結果から,作製したDLC薄膜は防食性に優れることがわかった.DLC薄膜を腐食性環境用圧力センサの保護膜として検討するため,センサの受圧部であるダイヤフラム上にDLC薄膜を作製し,薄膜の防食性を評価した.その結果,ダイヤフラムの動圧試験前後でその防食性に変化が無く,基材の変形に追従する防食性に優れたDLC薄膜を作製することができた.
詳細はこちらから<PDF:804KB>
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プラズマCVD法によるポリカーボネート上へのDLC膜の形成
田原 充・出水 敬・グエンクォンキェン
  
高分子表面へDLC膜を形成する技術は最近始まったばかりであるが,ポリカーボネート上へDLC膜の作製はプラズマCVD法ではこれまで困難とされてきた.プラズマガスにメタン/アルゴンガスを導入して膜を作製した結果,エタノールによる洗浄を行ってもはく離しないDLC膜が作製できた.さらにこの膜を中間層としてその上にメタン/水素ガスから作製したDLC膜を乗せることによって,繰り返し摩擦試験において安定した低い摩擦係数を持つ膜が得られたことを報告する.
詳細はこちらから<PDF:335KB>
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タオル製品の毛羽落ち試験法の規格化およびタオル構成要素と洗濯脱綿率の調査
馬渕伸明・宮崎克彦
  
タオル製品から発生する毛羽は,洗濯時あるいは洗濯後、他の製品に付着し,その外観を損ねることから,商品クレ-ムとなることもある.しかし,毛羽落ちを正確に評価する方法は未だ確立されておらず、毛羽落ちしない製品への消費者ニ-ズも多いが,それに対応する商品開発も遅れている.本研究では,タオル1枚を試験試料とする評価法を構築し,市販タオル製品254点を実験試料とし毛羽落ち評価法としての妥当性を実証するとともに,タオルの設計要素との関連性について分析を行った.その結果,パイル形態の違いにより毛羽落ちに大きく差が生じることを明らかにした.また,パイル糸の設計により毛羽落ちの少ないタオル製品の開発が可能であることを確認した.
詳細はこちらから<PDF:384KB>
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