地方独立行政法人大阪産業技術研究所 - 当法人は、(地独)大阪府立産業技術総合研究所と(地独)大阪市立工業研究所が統合し、平成29年4月1日にスタートしました。研究開発から製造まで、企業の開発ステージに応じた支援を一気通貫で提供し、大阪産業の更なる飛躍に向け、大阪発のイノベーションを創出します。

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研究所報告(No.17)

平成15年度大阪府立産業技術総合研究所(現・和泉センター)報告(No.17)について紹介しています。

本号では、技術報告5編、技術論文12編、他誌掲載論文等概要62件および口頭発表概要225件を掲載していました。

このページでは、技術報告、技術論文の一覧とその概要を掲載しております。
また技術報告、技術論文は全文をPDFファイルでご覧いただけます。

※こちらに掲載されている情報は、発行当時の内容をそのまま掲載しているため、技術内容、保有機器、組織名、担当者などが、現在のものとは異なる可能性がありますのでご了承ください。

 

(平成15年11月 発行)


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表紙~38p<3,591KB> ②39p~98p<4,392KB> ③99p~154p<3,718KB> ④155p~裏表紙<3,106KB>

 

テーマ一覧

技術報告

1 反応性イオンプレーティング法によるチタン窒化物皮膜の膜質制御 三浦健一・石神逸男・水越朋之
2 紫外光分解を用いたポリシランフィルムの新しい光学材料としての応用 櫻井芳昭・横山正明
3 既存燃焼炉の省エネルギーを図る酸素富化燃焼制御システム 谷口正志・入江年優・表原靖男・磯田 徹
4 輸送包装のための製品衝撃強さ評価法の実状と新しい提案 中嶋隆勝・寺岸義春・高田利夫・津田和城
5 Cr-O薄膜を用いた高温動作型圧力センサの開発 日下忠興・野坂俊紀・岡本昭夫・筧 芳治
松永 崇・井上幸二・田中恒久・吉竹正明
竹中 宏・沢村幹雄

技術論文

1 ラスター切削加における形状誤差要因の解明
-気圧変化によるレーザ測長誤差の影響-
山口勝己・足立和俊・本田索郎・村田一夫
2 金型用亜鉛合金の放電加工特性と
フレ-ム電極による高能率創成加工
南 久・増井清徳・塚原秀和
李 瑞埈・萩野秀樹
3 円柱状表面のX線残留応力測定
-照射面積変化法による円周方向応力の推定-
小栗泰造・村田一夫・佐藤嘉洋
4 塩化ビニル樹脂用ダイオキシン類抑制剤の開発 井本泰造・宮内修平・奥村俊彦
原田 齋・赤松保行
5 羊毛クチクル分解酵素NS-11による羊毛ニット糸の防縮加工 高塚 正・木村和臣・上甲恭平・井上一成
松浦 明・荒井基夫・宮本武明
6 ゼオライトを利用した各種ガスの吸着除去 稲村 偉・Sebastian Diaz de la Torre
宮本 敬・西川義人・宮本大樹
川崎二朗・佐竹博行・加藤泰三
7 ワンチップマイコンを用いた小型制御器の開発 北川貴弘・谷口正志
8 アークイオンプレーティング法により形成したCrN皮膜の
耐摩耗性に及ぼす被覆条件の影響電波吸収体の試作と評価
榮川元雄・三浦健一・石神逸男
9 燃焼合成法によるNi-Al系金属間化合物コーティング膜の作製 岡本 明・上田順弘・曽根 匠・池永 明
10 スルホン化処理したポリスチレン樹脂への銅めっきの密着挙動 森河 務・横井昌幸
11 アルコキシドを用いた球状及び針状TiO2サブミクロン微粒子の調製 日置亜也子・櫻井芳昭・汐崎久芳・木本正樹
12 コンパウンディングによるリサイクルポリエチレンの改質 奥村俊彦

 


 

技術報告及び技術論文概要

技術報告

反応性イオンプレーティング法によるチタン窒化物皮膜の膜質制御
三浦健一・石神逸男・水越朋之
  
イオンプレーティング法ではプロセスパラメーターが多いため、成膜方式や被覆条件によって膜質が大きく変動する。しかし、実際には同じ装置、同じ被覆条件で形成した皮膜でさえも、その性質が異なることがしばしばある。本研究では、イオンプレーティング法における膜質制御に関する基礎的知見を提示するため、HCD方式反応性イオンプレーティング法によるチタン窒化物皮膜の形成を取り上げ、プロセスパラメーターと膜質との関係について詳細に調べ、その上で被覆条件と膜質との間に潜在する本質的な膜質支配因子を見出すことを目的とした。具体的には、膜質として皮膜硬さを取り上げ、硬さに及ぼす結晶粒径、堆積状態、組成比[N]/[Ti]、不純物酸素濃度および内部応力の影響について調査した。そして、硬さには内部応力が大きな影響を及ぼすことを明らかにするとともに、内部応力の制御因子について検討を加えた。
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紫外光分解を用いたポリシランフィルムの新しい応用展開
櫻井芳昭・横山正明
  
ポリシランが示す特異な化学的性質であるUV光分解に着目して、それに伴う物性変化ならびに化学的特性変化を生かしたポリシランの新しい応用に関する展開について報告する。特に、ポリシランのUV光照射にともなう物性変化を利用した応用例として、1)UV光照射部の膨潤性に着目したポリシランの水溶性色素による多色パターン染色、2)ポリシランのパターン染色のカラーフィルターへの展開を図るためのミセル顔料電着法によるパターン着色、3)ポリシラン膜をマスクとしたチオフェンのパターン電解重合、さらにポリシランの透明性を活かして、4)紫外光照射部と未照射部の撥水性の差を利用したゾル-ゲル法によるマイクロレンズの作製、5)ポリシランの膨潤性とポリマー電着法を利用したマイクロレンズの作製について述べる。
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既存燃焼炉の省エネルギーを図る酸素富化燃焼制御システム
谷口正志・入江年優・表原靖男・磯田 徹
  
1700℃の高温焼成を行っているセラミック焼成用高温シャトル炉に、酸素富化燃焼を適応した結果、適切な酸素濃度や酸素富化燃焼の適応域(酸素富化燃焼の開始および終了時期)などが明らかになり、操業時間で14時間(21%)の短縮、全燃料消費量で最大32%の削減が達成された。ここでは実用的な酸素富化燃焼技術の確立を目指して、既存の燃焼炉への付加と設備改造を極力抑えることを前提とし、通常燃焼と酸素富化燃焼の自動切り替えが行える酸素富化燃焼制御システムを開発した。小型実験炉を使用した実験の結果、酸素濃度を一定に保ちながら通常燃焼と酸素富化燃焼の切り替え前後での空気比を同一に制御できるだけでなく、元の燃焼炉の最大燃焼量も確保できることが確認されたので報告する。
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輸送包装のための製品衝撃強さ評価法の実状と新しい提案
中嶋隆勝・寺岸義春・高田利夫・津田和城
  
製品衝撃強さ評価法とは、どのような衝撃パルスによって製品が破損するかを把握するための技術であり、製品の輸送過程で発生する落下衝撃から製品を保護するための緩衝包装設計、ならびに、使用中に落下される可能性のある携帯機器の製品設計において重要な技術である。ここでは、著者らが企業からの依頼に基づきおこなった衝撃試験結果を用いて、現在の試験方法の問題点を指摘する。次に、著者らの研究成果を紹介する。主な研究成果は以下のとおりである。衝撃強さ試験で問題となる現象(「逆転現象」、「速度変化依存性」、「損傷境界曲線交差現象」)を見出した。新評価法(「保証範囲確認試験」、「損傷境界曲線評価法」)を考案した。また、後者の評価法に破損確率の概念を導入した結果、「市場クレームの非再現性」を解明した。最後に、「損傷境界曲線評価法」の類型を考案し、さまざまな試験現場で適切な試験方法が選択できるように試験方法の体系化を図った。
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Cr-O薄膜を用いた高温動作型圧力センサの開発
日下忠興・野坂俊紀・岡本昭夫・筧 芳治・松永 崇
井上幸二・田中恒久・吉竹正明・竹中 宏・沢村幹雄
  
高圧用の圧力検出器としては多種存在するが、高温環境で使用できる特性の良い低コストで汎用性のある圧力センサはほとんどない。そこで、150℃~250℃の高温で動作が可能なダイヤフラム一体型の高温動作型圧力センサの開発と実用化を行ったので、その結果について述べる。圧力を感知する検出部にはCr-O薄膜を用いた。開発した圧力センサは室温~250℃の雰囲気においてヒステリシスも無く直線性の良い出力特性を示し、温度特性に影響するCr-O薄膜のTCRも非常に小さく良好な高温動作型圧力センサを開発することが出来た。  また、大気中での高温動作によるセンサの劣化を防止するための耐酸化性パッシベ-ション膜としてAlN、Si3N4、Zr-Al-N,DLCの4種類の非酸化物薄膜について検討した結果、いずれの膜も200℃の大気中において良好な耐酸化性を示すことがわかった。中でもAlN、Si3N4膜については高温における耐酸化性が非常に優れ、特にAlN膜は500℃の雰囲気においても良好な耐酸化性を示し、高温動作型圧力センサのパッシベ-ション膜として適していることがわかった。さらに、信頼性試験の結果から150℃仕様の高温動作型圧力センサの製品化を行うことが出来た。
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技術論文 

ラスター切削加における形状誤差要因の解明
-気圧変化によるレーザ測長誤差の影響-
山口勝己・足立和俊・本田索郎・村田一夫
  
非軸対称非球面の創成法として一般的なラスター加工は、加工に要する時間が総じて長く、加工環境の経時変化の影響を受け易い。また、超精密加工機は位置決め制御にレーザ干渉測長フィードバックを採用しており、加工環境の変化にともなうレーザ測長誤差が加工精度を決定する一因子となっている。本研究は、環境変化にともなうレーザ測長誤差が加工面の形状精度に及ぼす影響を定性的、定量的に解明しようとする試みで、最初に、総加工時間の異なる平面ラスター切削加工を温・湿度の管理された環境下で行い、気圧変化の大小が形状精度の優劣の原因となり得ること、切削面の形状変化と気圧変化の間に強い相関があることを実験的に見出した。さらに、レーザ干渉測長の原理より導出した環境補正誤差の関係式を用い、加工中の気圧変化に連動して生じるレーザ測長誤差が工具-工作物間の相対変位をもたらし、その相対変位が工作物にそのまま転写された結果として上述の相関が成り立っていることを実証した。
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金型用亜鉛合金の放電加工特性とフレ-ム電極による高能率創成加工
南  久・増井清徳・塚原秀和・李 瑞埈・萩野秀樹
  
消費者ニーズの多様化とともに、多品種小ロット生産用金型の需要が急速に高まり、金型製作における短納期、低コスト化が大きく求められている。金型用亜鉛合金(ZAPREC)は、従来から試作部品や簡易金型などに限定使用されている亜鉛合金(ZAS)の素材特性が改良されたもので、鉄鋼系材料に比べると、金型製作時の機械加工性やプラスチック樹脂の成形性などにおいて多くの利点が期待されている。本研究では、金型加工に必要な亜鉛合金(ZAPREC)の放電加工特性について調べるとともに、仕上げ領域における電極低消耗高速加工性に着目したワイヤフレ-ム電極による高能率創成放電加工について検討した。その結果、亜鉛合金は従来の鉄鋼系材料に比べて、放電時の加工間隙が広く、屑やガスの排出が容易であることから、広範囲な加工領域において、安定な加工状態を維持しながら、電極低消耗高速放電加工が実現できることがわかった。また、こうした加工条件をもとにワイヤフレ-ム電極を利用すれば、目的とする部品の外形面に沿って、輪郭部のみを除去する三次元創成加工が可能となり、金型のキャビティやコアなどの効率的な加工に活用できることを確認した。
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円柱状表面のX線残留応力測定
-照射面積変化法による円周方向応力の推定-
小栗泰造・村田一夫・佐藤嘉洋
  
X線応力測定法は、残留応力を非破壊で測定できるもっとも一般的な手法の一つである。しかし、実用機械部品の残留応力評価に際してしばしば必要となる湾曲部の残留応力測定においては、その測定原理から逸脱するために、湾曲形状に起因した測定誤差が発生する。また、歯車の歯元やクランクシャフトのフィレットロール部などのくぼんだ位置にある湾曲部は、それらの疲労強度に大きな影響を及ぼすことが知られており、正しく残留応力を評価することが求められている。そのような部位にX線応力測定を適用する場合には、測定位置や応力成分によっては、試料自身がX線経路を部分的に遮断することがあるため、測定は困難を極める。そこで本研究では、測定面の湾曲を利用した、X線の入射角変化を必要としない新規な測定手法を考案した。具体的には、凹状円柱面を対象にとりあげ、X線経路の遮断が生じにくい軸方向へのX線照射のもとで、円周方向の照射寸法を変化させたときに生じるψ=0°時回折角の変化を利用して、円周方向応力を推定する方法について述べる。
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塩化ビニル樹脂用ダイオキシン類抑制剤の開発
井本泰造・宮内修平・奥村俊彦・原田 齋・赤松保行
  
塩化ビニル樹脂は一般に他のプラスチックと比較し、安価かつ丈夫であるため、電線の被覆、水道管、バケツ、窓枠、車の泥よけ、床材、柵、屋外用遊具など様々なところで大量に使用されている。しかし、塩化ビニル樹脂には塩素が含まれるためスクラップとして焼却処理される過程で猛毒のダイオキシン類を発生する原因になっていると指摘され、材料として優れた特性を持っているにもかかわらず、社会的に敬遠されている。したがって、塩化ビニル樹脂の焼却においてダイオキシン類を抑制する添加剤が安価に市場に提供されれば、社会的にも経済的にも大きく貢献できることになる。そこで、アルカリ材を湿式粉砕機により微粉砕し表面処理を行い塩化ビニル樹脂に練り込むことで、ダイオキシン類抑制効果をもたせた塩化ビニル樹脂を試作し、傾斜型電気管状炉でダイオキシン類抑制試験を行った。その結果、微粉砕されたアルカリ材を塩化ビニル樹脂に添加することで、排ガス中ダイオキシン類毒性当量が大幅に低減される結果を得た。
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羊毛クチクル分解酵素NS-11による羊毛ニット糸の防縮加工
高塚 正・木村和臣・上甲恭平・井上一成
松浦 明・荒井基夫・宮本武明
  
羊毛繊維の改質目的に合致する酵素を産出する微生物のスクリーニングにより見出した羊毛クチクル分解酵素NS-11を用いて羊毛ニット糸を酵素単独および酵素/過酸化水素同浴処理を行い、その防縮効果について検討した。その結果、酵素NS-11は高次構造を保持した未処理羊毛繊維に対してはほとんど防縮効果を示さなかった。そこで、酵素/H2O2併用処理を試みたところ、酵素は過酸化水素により作用を受けた部位、特に繊維表面付近に働くことによって防縮性の向上が認められた。しかし、過酸化水素の作用は繊維表面にとどまらず、α-結晶およびマトリックスにおよび、ジスルフィド結合やケラチン分子鎖を酸化分解した。また、あらかじめ繊維表面を改質した軽塩素加工糸に対しても酵素処理を行ったところ、酵素は繊維表面に作用し防縮性が向上した。これらのことから、この酵素は防縮加工に応用可能であるといえる。
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ゼオライトハニカムの作製と吸着特性
稲村 偉・Sebastian Diaz de la Torre・宮本 敬・西川義人
宮本大樹・川崎二朗・佐竹博行・加藤泰三
  
ゼオライトは三次元的に連結した細孔(0.3~1.3nm)を持った構造を取り、細孔径以下のサイズの分子を吸着する吸着剤として有用である。ただし、可塑性がなく、また、900℃以上で分解するので、通常のセラミックスの焼結法では強度が保てないため、従来は複雑形状の成形体を得ることは困難であった。当研究所では、炭素繊維等を添加する事により強度を補強して、押し出し成形法による一体成形型のゼオライトハニカムを作製する技術を開発した。従来の粒状のゼオライトをカラムに詰めた方法と比較して、圧力損失が小さく、実効表面積が大きい特徴を持つ。このゼオライトハニカムを用いて、水分の除去に関しては、露点-40℃までの空気乾燥が可能となり、乾燥機への応用として既に市場に供与した。  悪臭の除去、有毒ガスの除去等への応用を図るためには、ゼオライトの種類による揮発性有機化合物(VOC)の吸着特性を実験し、また、実験が困難な有害物質については、モデル物質による実験とコンピュータシミュレーションによる検討を併用して行った。その結果、有望であることが判明した。
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ワンチップマイコンを用いた小型制御器の開発
北川貴弘・谷口正志
  
自動化は、新しい機器の開発と既存の機器のシステム化を組み合わせた形で進められているが、産業分野によっては大きさや機能の点から既存の制御器では対応困難な場合があり、新しい制御器の開発が求められている。このような問題に対応するため、特に大きさの面で有効であるワンチップタイプの汎用マイコンを用いて制御器の開発を行い、通常はパソコンを用いて行っているのと同等の制御を行わせることにより、ワンチップマイコンが制御器として十分な実用性があることを確認したので報告する。また、制御器の設計には従来から用いられている手法を使用したが、シミュレーションを行ったのでその内容も併せて報告する。本報告では、制御内容としてプロセス制御の中ではベンチマーク的な存在であり、制御の結果が一目で分かる倒立振子を選択した。また制御対象は、小型軽量で乾電池駆動が可能であるというワンチップマイコンの特長を生かすため、自走式の台車の上に立たせた振子を制御する事とした。
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アークイオンプレーティング法により形成したCrN皮膜の耐摩耗性に及ぼす被覆条件の影響
榮川元雄・三浦健一・石神逸男
  
皮膜の硬さ、結晶粒径、内部応力および耐摩耗性に及ぼす被覆温度、基板バイアス電圧および窒素ガス圧力の影響を調べた。そのうえで皮膜の耐摩耗性を支配する因子について検討した。基板には焼入れ・焼もどしした機械構造用鋼SCM440を用いた。硬さは超微小硬度計(㈱アカシ製 MVK-G3)を用いて測定した。結晶粒径はX線回折ピークの半価幅から決定した。内部応力はX線応力測定法によりsin2y法を用いて測定した。摩耗試験は往復しゅう動試験機を用いて無潤滑状態で行った。被覆温度が高く、基板バイアス電圧が低く、窒素ガス圧力が高くなるほど結晶粒が粗大化し、同時に圧縮応力は減少した。その結果として、皮膜硬さは低い値を示した。これらは皮膜の構造緩和の程度を反映したものであると考えられた。また、圧縮応力が大きく、かつ{110}面に優先配向した皮膜は耐摩耗性に劣る傾向がみられ、そのことは皮膜を構成する各柱状晶の間に作用する剪断力の大小を考慮することで理解できた。
詳細はこちらから<PDF:767KB>
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燃焼合成法によるNi-Al系金属間化合物コーティング膜の作製
岡本 明・上田順弘・曽根 匠・池永 明
  
高温構造用材料として期待されるNi-Al系金属間化合物は、高融点、低密度で高温強度や耐酸化性に優れるが、延性に乏しく、主にコーティング材料として使用されることが多い。本研究では、SUS304ステンレス鋼基板上にNi-25、50、60、75at%Alに配合した混合圧粉体を配置し、低温かつ短時間で金属間化合物を合成できる燃焼合成法を用いてNi-Al系金属間化合物コーティング膜の作製を試みた。室温で20MPaを負荷後、処理温度1033K、保持時間0.9ksでホットプレスを行ったところ、密着性が良好なコーティング層が得られた。組織観察により化合物相と空隙が認められ、また、X線回折測定により、配合比に対応する、あるいは、配合比に近い化合物が生成することがわかった。なお、75at%Alでは界面から基板側へAlの拡散層が明瞭に認められた。コーティング層の硬さは、生成相の種類に応じて変化するが、Al配合比が高いほど硬さが増大する傾向を示した。
詳細はこちらから<PDF:939KB>
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スルホン化処理したポリスチレン樹脂への銅めっきの密着挙動
森河 務・横井昌幸
  
エンジニアリングプラスチックやポリマーアロイなどの出現により、樹脂へのめっきは、従来の装飾めっきから、耐摩耗性・耐熱性・耐候性・電気電導性などの機能性を発揮する複合材料のめっきとして利用が拡大している。樹脂へのめっき皮膜がその機能を果たすには、樹脂とめっき皮膜の密着力が重要である。本研究では、スルホン化処理したPS樹脂への銅めっきを取り上げ、密着力に及ぼすスルホン化条件、エージングによる密着力の経時変化などを検討した。PS樹脂を、濃硫酸に浸漬すると、浸漬時間とともにPS樹脂表面がスルホン化され表面は親水性となり、無電解銅めっきすることができる。スルホン化したPS樹脂へのめっきの密着力は、めっき直後で50~100gf/cmであったが、その密着力はエージングによって、1ケ月後には500~650gf/cmまで向上した。試験面の反対側のめっき皮膜を剥離した場合には、密着力は数日間で向上した。クロノポテンシオメトリーならびにESCA測定により、密着力が大きい場合には銅めっきの剥離面に銅(I)酸化物の形成が確認され、めっき/樹脂界面でのスルホン基と酸化銅(Ⅰ)との化学的相互作用が密着力に重要な因子であることを明らかにした。
詳細はこちらから<PDF:759KB>
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アルコキシドを用いた球状及び針状TiO2サブミクロン微粒子の調製
日置亜也子・櫻井芳昭・汐崎久芳・木本正樹
  
酸化チタン(TiO2)は、 屈折率が高く、化学的に安定であり、安価であることから、 白色顔料、フィラー、光触媒、紫外線吸収剤といった幅広い分野で応用されている。現在市販されているTiO2粉末は大きいものでは数100μmから、小さいものでは数nmといった粒径のものがあるが、粒径の小さいものでは、形状の整ったものは少なく、価格も高い。微粒子はその形状やサイズによって物性や機能が大きく変化するため、TiO2についても、使用目的に応じた形状やサイズを持つ微粒子への需要が高まっている。本研究では、常温・常圧下で、特殊な装置を用いずに、チタンアルコキシドを原料とする湿式法により、サブミクロンオーダー以下の球状、ロッド状TiO2微粒子を合成する方法を開発した。合成時の溶媒を変化させることで微粒子の形状は異なり、反応時間を変えることで、粒子径やアスペクト比(ロッド形状における長軸と短軸の比)を容易に制御できることがわかった。
詳細はこちらから<PDF:658KB>
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コンパウンディングによるリサイクルポリエチレンの改質
奥村俊彦
  
プラスチック材料に異種のプラスチックや各種添加剤などを加え、機械的に混練することにより、単一の材料では得られない機能を付与することや、高性能化を達成するために用いられる方法の代表的なものがコンパウンディング技術である。プラスチック材料のリサイクルの推進が現在の重要な社会的ニーズとなっている。特に、マテリアルリサイクル(再成形)が最も推進されるべき課題とされているが、複数の材質のブレンドを前提とした製品開発においてコンパウンディング技術は大きな役割を果たすと考えられる。本稿ではマテリアルリサイクルの一例としてリサイクルポリエチレンの材料改質をとりあげる。改質対象である高密度ポリエチレン(HDPE)に低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)をコンパウンドすることで、改質目標として掲げていた耐熱性・引張特性・熱的性質を満足する材料を調製することができた。
詳細はこちらから<PDF:302KB>
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