地方独立行政法人大阪産業技術研究所 - 当法人は、(地独)大阪府立産業技術総合研究所と(地独)大阪市立工業研究所が統合し、平成29年4月1日にスタートしました。研究開発から製造まで、企業の開発ステージに応じた支援を一気通貫で提供し、大阪産業の更なる飛躍に向け、大阪発のイノベーションを創出します。

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研究所報告(No.15)

平成13年度大阪府立産業技術総合研究所(現・和泉センター)報告(No.15)について紹介しています。

本号では、技術報告5編、技術論文11編、他誌掲載論文等概要53件および口頭発表概要214件を掲載していました。

このページでは、技術報告、技術論文の一覧とその概要を掲載しております。

※こちらに掲載されている情報は、発行当時の内容をそのまま掲載しているため、技術内容、保有機器、組織名、担当者などが、現在のものとは異なる可能性がありますのでご了承ください。

 

(平成13年9月 発行)


冊子全体のPDFはこちら
表紙~50p<3,818KB> ②51p~112p<4,371KB> ③113p~裏表紙<2,842KB>

 

テーマ一覧

技術報告

1 スパッタ法による機能性薄膜の作製と応用 吉竹正明・野坂俊紀・岡本昭夫
2 パルスレーザ光照射による金属表面へのレインボーカラー加工 永田伍雄
3 機械加工による残留応力の発生原因と特徴 村田一夫・山口勝己・足立和俊・本田索郎
4 金属粉末の直接焼結によるラピッドプロトタイピング 木下俊行・宮田良雄・鬼橋保祐
5 金属材料の腐食試験方法 佐藤幸弘・左藤眞市・中出卓男・村上義夫

技術論文

1 鍛造加工における新しいトライボ特性評価法の提案 白川信彦・和田林良一
2 ステンレス鋼の微細ドリル加工特性―加工条件および結晶粒径が工具摩耗に及ぼす影響― 藤原久一・大山 博
3 チタン材の放電着色仕上げ 南 久・増井清徳・塚原秀和・萩野秀樹
4 プラズマ窒化したSUS304におけるS相の生成に及ぼすピーニングの効果 山内尚彦・上田順弘・岡本  明・出水 敬
5 ジルコニア分散アルミナセラミックスの
強度のジルコニア量依存性について
西川義人・久米秀樹・稲村 偉宮本大樹・S.D.De la Torre
6 サファイヤ(0001)基板上の
NiO(111)薄膜の室温エピタキシャル成長
筧 芳治・中尾 聡・佐藤和郎・日下忠興
7 マイクロマシン技術によるガスセンシングシステムの開発 大川裕蔵・櫻井芳昭・莫 要武田島基史・日置亜也子・夏川一輝
8 ヘテロポリオキソモリブデン酸錯体生成に基づくキャピラリー電気泳動分析 中島陽一
9 画像特徴を用いたカーファブリック模様の印象解析 森脇耕介・中谷幸太郎・亀井義弘
10 綿織物の酵素処理におよぼす機械的前処理の効果 菅井実夫・谷川味希・吉崎枝織
上甲恭平・荒井基夫
11 介護施設におけるタオルの現状調査 赤坂長吉・住 好一・宮崎克彦
根津 修・東 忠宏・亀田良兼

 


 

技術報告及び技術論文概要

技術報告

スパッタ法による機能性薄膜の作製と応用
吉竹正明・野坂俊紀・岡本昭夫
  
薄膜による機能性材料,すなわち機能性薄膜を作製する方法は数多くあるが,その中でもスパッタ法は,イオンやラジカルの持つエネルギーを利用して新しい物質や化合物の作製あるいは複合化が簡単にできる手法であり,機能性薄膜の作製方法としては非常に有力な手段である.本報告では,スパッタ法を用いた薄膜作製方法の概要と,これまでにわれわれの研究グループで開発を行ってきた機能性薄膜の中から,機能性薄膜コーティングによる基板材料の機能性向上を目的とした例として,プラスチック光学レンズ保護膜,金属工芸品への意匠付与のための蛍光体薄膜,透光性電磁波シールド膜を,また薄膜材料のセンサとしての機能性発現を目的とした例として,赤外線および磁場の影響を受けない低温用温度センサについてそれぞれ取り上げ,それらの作製方法や機能性薄膜の特性およびその応用について紹介する.
詳細はこちらから<PDF:1943KB>
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パルスレーザ光照射による金属表面へのレインボーカラー加工
永田伍雄
  
単一ビームのYAGレーザ光を金属板表面に照射して,照射レーザ光の波長と同程度の回折格子が形成されることを見いだし,形成手法を確立した.CADで作成したパターンに従って照射レーザ光スポットを移動させることにより,目的の虹色パターンが金属製品表面に加工できる.加工品を金型としてプラスチックフイルムへ複製できる.虹色発色の方向を決める回折格子の溝方向を自由にコントロールして加工できるため,デジタル情報を溝方向に変換して記録でき,プリペイドカード等の偽造防止にも応用可能である.レインボーカラーレーザ加工は,レーザ光の光エネルギーに加えて加工材料表面でのレーザ光の干渉性をも利用した特異な加工である.加工方法,加工可能材料および原理についても述べる.
詳細はこちらから<PDF:2406KB>
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機械加工による残留応力の発生原因と特徴
村田一夫・山口勝己・足立和俊・本田索郎
  
切削や研削などの機械加工が行われた表面近傍には,材料除去に伴う破壊や変形,熱変質などにより内部素地とは性質の異なる加工変質層が形成され,これに伴って時として残留応力が発生する.残留応力は,強度や形状精度に悪影響を及ぼすことが多く好ましくない場合が多い.本報告では,残留応力によるトラブル解決の一助とするため,残留応力の基本的発生原因と発生例を紹介するとともに,切削および研削により生じる残留応力の発生原因をそれぞれの材料除去機構をもとに解説している.そのもとで,金属材料やセラミックスなど各種材料の切削,研削による残留応力の発生例を紹介し,材料特性や加工条件と残留応力の大きさ,深さ方向分布,符号(圧縮,引張)などの関係について述べている.
詳細はこちらから<PDF:1555KB>
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金属粉末の直接焼結によるラピッドプロトタイピング
木下俊行・宮田良雄・鬼橋保祐
  
ラピッドプロトタイピングは、複雑形状のモデルを短時間で造形する技術として注目されている。当所が保有する金属粉末ラピッドプロトタイピング装置(独EOS社製:EOSINT-M250)は、2種類の標準粉末材料の造形が可能であり、焼結等の後処理なしに高強度の製品を得ることができる。ブロンズ・ニッケル混合粉末を用いた造形品は強度や耐熱性が低いことから、主に小ロット生産用の樹脂成形用金型として利用されている。鉄・ニッケル混合粉末を用いた造形品は、ダイキャスト金型等への利用が期待されているが、造形品の寸法精度や表面粗さの向上ならびに強度や耐熱性の確認が重要な課題である。このため本稿では、造形の原理や装置の特徴等の一般的な解説に加えて、当所において実施した鉄・ニッケル混合粉末造形品の品質や特性に関する各種の実験結果についても報告した。
詳細はこちらから<PDF:1466KB>
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金属材料の腐食試験方法
佐藤幸弘・左藤眞市・中出卓男・村上義夫
  
金属材料の耐食性評価や腐食原因解明などのために実施される腐食試験方法は,その目的に応じてさまざまな試験方法がある.これらから適切な腐食試験方法を選択する際には,1)再現性が良い,2)試験時間の短縮のため,加速率が高く実環境との相関が良い,3)試験が簡便である,4)試験が安全である,などを考慮する必要がある.本稿では,腐食試験を実施する際に使用する試験片の取り扱いや各種腐食試験方法の概要を解説した.試験片の取り扱いでは,試験片の前処理および後処理方法などを説明した.また各種腐食試験方法については,実験室における腐食試験方法と実環境下で行う暴露試験に分けて,腐食試験方法をいくつか紹介した.さらに腐食試験の評価方法として,外観による分類,重量変化による方法,電気化学的測定法,厚さ測定などについても述べた.
詳細はこちらから<PDF:722KB>
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技術論文 

鍛造加工における新しいトライボ特性評価法の提案
白川信彦・和田林良一
  
冷間鍛造での摩擦・焼付きなどの状況を評価する新しい方法として「平面ダイ押出し試験法」を考案し,その有用性を明らかにした.この方法は2段テーパの平面ダイを用いて円柱素材を平板状に押出し,そのときの被加工材の変形形状から摩擦抵抗の大きさを評価するもので,荷重測定を必要としない簡単な試験法である.予めFEMによる数値解析から摩擦係数と変形形状との関係を求めておき,試験結果から得られた形状寸法と比較することによって,実際に作用した摩擦抵抗を摩擦係数の形で定量化することを試みた.アルミニウム合金を素材として数種類の潤滑剤を用いた実験の結果,潤滑剤の違いによる摩擦抵抗の差異が明確に現れ,潤滑剤の耐焼付き性に対する評価も可能であった.また,焼付きが生じても型表面の観察や型の修復が容易であることなど,従来適用されていた試験法よりも有効なトライボ特性評価法であると考えられた.
詳細はこちらから<PDF:1026KB>
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ステンレス鋼の微細ドリル加工特性
―加工条件および結晶粒径が工具摩耗に及ぼす影響―
藤原久一・大山 博
  
近年,製品や部品の小型化,高機能化を実現するための加工技術として,微小径加工の重要性が高まっている.なかでも微小径ドリル加工は他の加工法に比べて高精度,高品質な穴を得ることができることから幅広い分野で重要視されている.またこうした穴加工での被削材も,高品質の材料を用いて性能を向上させる観点から,従来の材料より高級な材料,例えばステンレスや複合材料などの新素材が積極的に用いられるようになってきた.本研究は,難削材であるオーステナイト系ステンレス鋼を被削材に取り上げ,φ0.1mm微小径ドリル加工における送り量と工具摩耗の関係を検討した.また微小径ドリル加工においては,ドリル径と被削材の結晶粒の大きさが相対的に近くなるため,加工される金属の結晶の大きさや異方性などの結晶的性質が工具寿命に影響を及ぼすと考えられる.そこで被削材の結晶粒径と工具摩耗との関係についても併せて検討を行った結果,工具径に対して結晶粒を微細化すると工具摩耗が低減されることが分かった.
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チタン材の放電着色仕上げ
南 久・ 増井清徳・塚原秀和・萩野秀樹
  
チタンは,軽くて強く,耐食性が高いことから,眼鏡や時計をはじめスポーツ用品など,身の回りの製品にその利用分野が急速に拡大している.そこで,最近では,高付加価値化を目的とした製品表面への意匠性付与に対する要求が高まり,チタン表面への様々な着色法が検討されている.従来のチタンの着色は,特別な腐食液を必要としたり,形状加工とは別の工程で着色処理が行われているが,本手法は水中で行い,加工と同時に着色面が得られる特徴を有するため,クリ?ンな着色仕上げ法として期待できる.そこで,チタン材の水中におけるワイヤ放電加工を行い,加工面への着色機構と着色性に及ぼす加工条件の影響について検討した.その結果,本着色面での発色は放電によって露出した金属面に対して,その直後に発生する電解作用に基づいて生成される酸化皮膜内での光の干渉現象によると考えられ,平均加工電圧を制御することで加工面を任意の色調に表現できることがわかった.また,工作物の板厚やオフセット,加工液の比抵抗によって色調に変化が生じることも確認した.
詳細はこちらから<PDF:1631KB>
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プラズマ窒化したSUS304におけるS相の生成に及ぼすピーニングの効果
山内尚彦・上田順弘・岡本  明・出水 敬
  
オーステナイト系ステンレス鋼を400℃程度の低温でプラズマ窒化すると,母材よりも耐食性と耐摩耗性に優れたS相が形成することが知られている.また,ステンレス鋼において,機械的な前加工の後,570℃でガス窒化を行うと,窒化反応が促進されることが報告されている.したがって,低温プラズマ窒化の場合にも,機械的な前加工によって窒化反応が促進され,それが,S相の生成に影響することが予想される.本研究では,SUS304にSiOおよびSiCを用いたピーニングを行った後に,400℃でプラズマ窒化を施し,得られた層を,X線回折などにより分析するとともに,3%食塩水中での摩擦・摩耗特性について検討した.その結果,窒化層の厚さは,ピーニングによる前加工によって増加した.SiCピーニングした試料ではS相が生成したが,SiOピーニングした試料ではS相は生成しなかった.窒化層の食塩水中における耐摩耗性は,SiCピーニングした試料では,S相のみからなる窒化層に比較して著しい向上が認められた.したがって,プラズマ窒化で耐腐食摩耗性を有するS相を生成する場合,前加工のピーニング媒体の選択が重要であることが確認できた.
詳細はこちらから<PDF:1269KB>
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ジルコニア分散アルミナセラミックスの強度のジルコニア量依存性について
西川義人・久米秀樹・稲村 偉・宮本大樹・S.D.De la Torre
  
アルミナセラミックスは耐酸性,耐薬品性および耐摩耗性に優れており,構造用セラミックスとしての用途に使用されている.しかし工業的に生産されているアルミナセラミックスの曲げ強度は約350MPaであるため,高強度で知られている窒化珪素の曲げ強度,約800MPaには遠く及ばず,使用範囲が限定されている.共沈法を用いると,ナノメータサイズのジルコニア粒子をアルミナ結晶粒子の周囲につけることができる.アルミナ系セラミックスの高強度化を目的として,共沈法により原料粉末を作製した.これを出発原料として焼結体を作製すると,ジルコニア粒子が均一に分散したアルミナ系セラミックスが得られた. この焼結体の曲げ強度を,アルミナとジルコニアの粉末同士を混合して作製した焼結体の曲げ強度と比較すると,約100MPa高い数値となった.また20mass%までのジルコニアを添加する実験を行った結果,添加するジルコニア量が増えるほど曲げ強度が向上した.TEMによる焼結体の組織観察から,粒界に存在するジルコニア粒子が強度向上の役割を果たしているものと考えられる.
詳細はこちらから<PDF:976KB>
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サファイヤ(0001)基板上のNiO(111)薄膜の室温エピタキシャル成長
筧 芳治・中尾 聡・佐藤和郎・日下忠興
  
PLD法の特徴の1つである高品質薄膜の低温成長に注目し,サファイヤ(0001)基板上に,光学材料・磁性薄膜としての応用の可能性があるNiO(111)エピタキシャル薄膜の室温成長を試みた.酸素圧およびレーザの入射エネルギー密度を変化させて作製した結果,NiO(111)薄膜の室温エピ タキシャル成長が確認され,その結晶配向関係は,NiO[111]//α-Al2O3[0001],NiO[10―1]//α-Al[10―10],NiO[2?1?1]//α-Al[11―20]であった.膜表面で観察される無数のドメインは6回対称性を示しており,サファイヤ(0001)基板上のNiO(111)エピタキシャル膜の結晶成長のメカニズムは,4個のNiO格子と3個のサファイヤ格子でマッチングする高次エピタキシーであると思われる.また,得られた膜の結晶性は,成膜初期時の面内格子定数の伸張に大きく影響を受けることが分かった.
詳細はこちらから<PDF:966KB> 
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マイクロマシン技術によるガスセンシングシステムの開発
大川裕蔵・櫻井芳昭・莫 要武
田島基史・日置亜也子・夏川一輝
  
マイクロマシン技術を用いて,ガスセンシングシステムを開発した.ガスセンサのプラットフォームとなるマイクロヒータは,シリコンプロセスで作製した.発熱体には厚さ1000ÅのPtを用い,50μm四方を入力電力10mWで450℃まで加熱することができる.ヒータ断面はSiO/SiN/SiOの三層構造とし,感応膜との電気的絶縁の確保,熱応力の緩和に対処した.感応膜は,半導体感応膜のSnOと有機系感応膜8種類を作製した.感応膜のガスに対する応答は電気抵抗の変化として現れるので,それを信号処理するための回路をCMOSプロセスで作製した.この回路は当システム専用のもので,チップサイズは5mm×5mmである.デジタルとアナログ両方を処理する機能を持っている.このチップの出力をパソコンで取得し,それを基に検知ガスを識別するためのソフトウェアも開発した.COHとNHに対して実験を行い,それぞれの応答をチャートで表わし,識別できることを確認した.
詳細はこちらから<PDF:1163KB>
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ヘテロポリオキソモリブデン酸錯体生成に基づく
キャピラリー電気泳動分析
中島陽一
  
キャピラリー電気泳動法(CE)は,近年急速に普及してきた分析法であり,短時間に分析が可能,試料注入量が少ない,測定時の廃液が従来法に比べ非常に少ないなどの優れた特徴を有するが,検出感度が他の方法に比べやや低いという問題点がある.一方,モリブデン酸イオンはさまざまな酸素酸と脱水縮合錯体を形成する.この錯体は大きなモル吸光係数を持つため,これをCE分析に応用すれば検出感度の向上が期待される.このような観点から,ヘテロポリオキソモリブデン酸錯体生成に基づくキャピラリー電気泳動分析について研究を行った.その結果,Cr(III)およびCr(VI)の同時定量,I(V)およびI(VII)の同時定量,Ga(III)およびAl(III)の同時定量,P(V)の高感度定量などが可能であった.
詳細はこちらから<PDF:716KB>
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画像特徴を用いたカーファブリック模様の印象解析
森脇耕介・中谷幸太郎・亀井義弘
  
製品のデザインは消費者の購買意欲を左右する要素であり,デザイナーやメーカにとって,製作し決定する作業は重要な過程である.デザインは,一般にはデザイナーの感性から創造されるものであり,数値的な取扱いの対象とはなりにくいが,作品に対する評価が,作品のどのような要素と関連しているかが分析できれば,デザイナーにとっては将来の創作活動に,またメーカにとっては商品開発の効率化に,それぞれ役立つ.  本論文では,カーファブリック(自動車内装用織物)の比較的単純な幾何学模様を対象とし,人間による感覚的評価と,画像処理手法によって抽出した模様の数値的特徴との関係を示す,客観的な評価分析手法確立の試みについて述べる.まず,模様を色彩の部分領域の組み合わせとみなし,領域ごとの分離と各領域の形状および色彩から数値特徴を求めた.初歩的な実験の結果,「秩序感」に照らして人間が直感的に段階分けした結果が,重回帰分析により領域数および領域面積の標準偏差と相関関係を持つことがわかり,客観的な評価分析手法の一具体例を示すことができた.
詳細はこちらから<PDF:1533KB>
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綿織物の酵素処理におよぼす機械的前処理の効果
菅井実夫・谷川味希・吉崎枝織・上甲恭平・荒井基夫
  
特殊形状の針布ローラーを装備した試作物理加工機を用いて,綿織物の物理処理(以下プリッカー処理)を行った.さらにこの生地に,酵素(セルラーゼ)がどのように作用するかについて検討した.プリッカー処理で,生地への針の貫通は認められなかったが,生地の「毛羽立ち」あるいは糸の「ほぐれ」が観察された.このような形態変化はKES風合い試験機で測定した布表面特性である表面摩擦係数,表面粗さがともに増加する傾向と対応した.次に,プリッカー処理布にセルラーゼを作用させた場合,初期段階における酵素反応は,引裂強度を低下させる部位には働いていないことが推察できた。これらの成果により,プリッカー処理条件の制御により,酵素処理効果を変えることができる可能性を見いだした。
詳細はこちらから<PDF:1386KB>
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介護施設におけるタオルの現状調査
赤坂長吉・住 好一・宮崎克彦・根津 修・東 忠宏・亀田良兼
  
タオルは人々の生活と文化に貢献し,今日では日常生活に欠かせない必需品となっている.近年,わが国では人口の高齢化が進み、平成12年度には介護保険法が施行された.これに伴い,さまざまな介護関連商品が開発されているが,生活密着商品であるタオル製品においても介護用商品として目的に応じた機能が発揮できるような商品開発が求められている.そこで我々は,使用部位別に適した機能性を具備した介護用タオル製品の開発を試みた.本報では,介護現場で実際に使用されているタオル製品の特徴,作業性を分析するために行った調査を基に,介護用タオル製品開発の可能性や方向性について報告する.
詳細はこちらから<PDF:1044KB>
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