核磁気共鳴装置―600MHz NMR―
内容高度試験・分析
分野油脂・洗剤、有機薬品、染料・染色、プラスチック、食品・発酵、有機材料、複合材料、その他
核磁気共鳴(NMR)装置は、核スピンをもつ原子核が磁場中で共鳴現象を起こす性質を利用するもので、有機・高分子・無機化合物の構造・物性解析など広い範囲に応用されています。
この機器は、磁場強度が14.1T (水素核共鳴周波数600MHz)の超伝導磁石を有する多機能NMR装置(JEOL RESONANCE製 JNM-ECA600)です。高磁場NMRの技術進歩により、従来の通常溶液測定(1H、13C、NOE、COSYなど)のみならず、磁場勾配法を用いることによる効率的な二次元測定、各種多核の測定を簡便かつ高分解能に行えます。
機器の特徴と主な用途
本装置は、溶液・固体に加え、ゲル状(半固体)試料まで幅広く測定できます。
- 溶液試料: 標準プローブとして多核観測機能対応のチューナブルプローブ(1H,19F,15N~31P核)を備え、10mmの大容量試料管を用いた低周波核測定用プローブにより15N〜103Rh核の感度の低い核も測定できます。また、13C、19F、1Hの三重共鳴用プローブは、フッ素系材料などの解析に効果的です。さらに、高勾配磁場印加プローブにより、分子会合状態、高分子化合物の分子量分布の測定、リチウム二次電池の性能評価も可能です。
- 固体試料: 3.2mm CPMASプローブを備え、多種核の固体高分解能NMR測定に対応しています。
- 半固体試料: 固体NMRと同様の高速MASを行いながら磁場勾配を印加できるFGMASプローブにより、クリーム状、ゲル状、ペースト状の材料が溶液測定のように高分解能で測定できます。
この多機能NMRは、電池材料、ケイ素材料、医薬品、食品、ゴムなど、先端材料や新素材の分子構造解析や材料評価に活用できます。その他、自己拡散係数の差を利用し、複数の分子を含む混合試料から個々のスペクトルを分離測定するDOSY法やROSY法をはじめ、様々な応用測定が可能ですので、是非ご相談ください。