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Studies on solid oxide fuel cells for biomass utilizations(バイオマスの利用に向けた固体酸化物形燃料電池に関する研究)

      
取得学位 博士(工学)
取得者 山口 真平
取得大学 京都大学
取得日 令和3年11月24日

概要


 本論文は、脱炭素に向け再生可能エネルギーであるバイオマスのエネルギー利用を促すため、固体酸化物形燃料電池(SOFC)およびダウンドラフト型ガス化炉から成る発電システムにおいて、木質チップの自熱ガス化特性、タール改質触媒の特性、およびガス化ガスにおけるSOFCの発電特性を明らかにすることを目指した研究をまとめたものであり、得られた主な成果は次のとおりである。

1.ダウンドラフト型ガス化炉によるヒノキチップの自熱ガス化特性においては、18.7 kWの出力規模および90%の効率により特徴的な組成のガス化ガスが得られ、過剰な空気量はチャーの燃焼速度を低下することで出力が増加しにくくなることを明らかにした。

2.モデルガス化ガスを供給したSOFCのNi-YSZ燃料極の電気化学特性および触媒反応特性においては、燃料極の発電反応はH2の電気化学酸化反応が支配的であり、Ni-YSZ上での電気化学反応とシフト反応は互いに無視できないことなど、低燃料利用率のモデルガス化ガスにおけるSOFCの発電特性を明らかにした。

3.高燃料利用率のモデルガス化ガスにおけるSOFCの発電特性およびガス化発電システムの性能においては、0-77%の燃料利用率では、Ni-YSZ燃料極でH2-H2Oの電気化学反応が支配的であり、ガス化発電システムのモデル計算では、5.6 kWの出力、40%の総合効率の自熱運転が可能であるなどSOFCの実用性能を明らかにした。 

4.Ni-Al系スピネルを含む酸化物(NAO)を還元した触媒について、NAO還元体でを酸化すると、NiはNiOを経由してγ-Al2O3と反応することでNiAl2O4¬が再生し、NAO還元体は活性サイトが多くCOにも阻害されにくいため、Pt/γ-Al2O3よりトルエン改質活性が高く、NiAl2O4が安定性の高いタール改質触媒に応用できることを明らかにした。

5.Ni-Al系酸化物の酸化・還元時の構造特性およびNiAl2O4を含む燃料極を備えたSOFCの酸化・還元特性においては、Ni/Al=1/2のNi-Al系酸化物を含むNiO-YSZを還元した燃料極を繰り返し酸化・還元しても、交換電流密度は初期値を維持することなど、酸化・還元耐性の高い燃料極の可能性を示した。

 


      

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