地方独立行政法人大阪産業技術研究所 - 当法人は、(地独)大阪府立産業技術総合研究所と(地独)大阪市立工業研究所が統合し、平成29年4月1日にスタートしました。研究開発から製造まで、企業の開発ステージに応じた支援を一気通貫で提供し、大阪産業の更なる飛躍に向け、大阪発のイノベーションを創出します。

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研究業務

実用化あるいは製品化等、出口を見据えた基盤的研究はもちろん、ものづくり企業や大学と連携しながらのサポイン事業や企業共同研究等も積極的におこなっています。
当部で保有している技術シーズにご興味がある場合、あるいは、製品開発に関するニーズがありましたら、ぜひお問い合わせください。


金属分析・表面改質研究室

金属分析・表面改質研究室では、金属の分析技術、ろう付技術、溶射、ドライコーティング、窒化・浸炭処理による表面改質の研究を行っています。

超硬合金の定量分析法の確立

超硬合金は、炭化タングステン- コバルト(WC-Co)系合金が最も知られており、切削工具などに広く用いられています。しかし、超硬合金は酸に溶けにくいことから主成分の定量分析法は確立されていません。

当研究室では、 WC-Co 系超硬合金の標準試料に対し、フッ硝酸-リン酸による分解を行い、得られた溶液をICP 発光分析にて測定し、主成分であるW、CoおよびTa、Ti の定量分析を行いました。また、C についても燃焼-赤外線吸収法により定量分析を行いました。標準試料との比較により、適切な値が得られていることから、本分析技術の有効性が確認できました。

本技術は品質管理、トラブル対策のみならず、新規合金開発や環境に配慮したリサイクル分野への適用も期待できます。


鉄鋼とアルミニウムのろう付技術

鉄の強度やコスト的優位性に加えてアルミニウムの軽量性や高熱伝導度を活用できる鉄-アルミニウム接合体は、金属製品の用途拡大に非常に有用ですが、現状では機械的締結や摩擦攪拌接合(FSW)等による接合手法しかなく、適用できる部品形状が限られています。

当研究室では、複雑形状部品を同時に数多く接合できる利点を有するろう付に着目し、ろう付特有のぬれ性、接合状態、接合強度に関する研究を行い、実用化に向けたろう付プロセスの確立を目指しています。

成果報告:
産業技術支援フェア in KANSAI 2020
大阪技術研テクノレポート(令和元年度)
第86回日本熱処理技術協会講演大会講演概要集(2018)25


真空アーク蒸着法による窒化ホウ素膜の形成

立方晶窒化ホウ素(c-BN)は、ダイヤモンドに次ぐ高い硬さと優れた耐酸化性を示し、鉄系材料との反応性が低いという特性も併せ持っています。このため、c-BNの焼結体は鉄系材料の切削工具として既に実用化されていますが、c-BNコーティング工具は未だ実現していません。

当研究室では、応用材料化学研究部と協力して、独自に開発したターゲットを用いた真空アーク蒸着法によるc-BN膜の成膜技術に関する研究を実施しています。

成果報告:
上田、小畠、他, 天田財団 助成研究成果報告書 , 34, 2021.
三浦、小畠、他, 天田財団 助成研究成果報告書 , 29, 2016.


表面化学研究室

めっき分野

めっき分野では、工業用材料への適用を目指して、機械的性質に優れためっき皮膜を中心に研究開発を実施しています。一例として、硬質クロムめっきを超える新規硬質皮膜としてCr-C合金めっき皮膜の開発を進めているほか、環境に配慮しためっきプロセスの開発にも取り組んでいます。
また、企業との共同研究も積極的に実施しています。種々の目的に応じてめっき皮膜の高機能化に関する研究を実施し、その成果を還元することによりめっき関連企業の課題解決に貢献しています。

研究事例:連続鋳造用鋳型の長寿命化を実現する積層コバルト-ニッケル合金めっきの開発

製鉄での主要な工程の一つに連続鋳造があります。その鋳型には、冷却効果を高めるために銅合金が用いられますが、高温の溶鋼が接触するため、その表面保護を目的として耐熱性に優れたニッケル系合金めっきなどが施されています。しかしながら、継続使用によりめっき皮膜にクラックが発生し鋳型寿命が短くなる課題がありました。
当研究室では、めっき皮膜を積層化させたコバルト-ニッケル合金めっきを企業と共同で開発しました。このめっきは、合金組成の異なる各層の厚さを制御することにより、優れた伸び特性および耐クラック性を示すため、鋳造用鋳型の寿命を大きく向上させることが可能です。

成果報告:特許第7022266号


腐食防食分野

腐食防食分野では、企業との共同研究や高度受託研究を中心に、他の研究機関では対応できない防錆防食技術の研究開発を行っています。例えば、ステンレス鋼の不動態化処理や電解研磨に関する研究開発、溶融亜鉛めっきに関する新技術開発、防錆油の防錆メカニズムに関する研究や、気化性防錆剤を用いた防錆技術に関する研究に取り組んでいます。
また、近年社会問題化している鉄筋コンクリート中の鉄筋腐食に関する研究などについても、大学と共同研究を進めています。

研究事例:鉄鋼に対する気相中での不動態化処理方法の開発

鉄鋼に対する防錆対策として、亜硝酸イオンを含む水溶液に浸漬する方法が良く用いられていますが、専用設備や廃液処理が必要で、さらに製品状態での処理が困難であるという課題があります。
当研究室では、亜硝酸系の気化性防錆剤を用いることで気相中でも不動態化処理が可能な方法を開発しました。この方法は、優れた耐食性能を発揮するため、密閉包装を行った鉄鋼製品の輸送環境などに適用可能です。

成果報告:特許第7154498号


電池技術分野

電池技術分野では、今後大きな発展が期待される次世代電池の研究を実施し、将来の電池産業におけるニーズに幅広く応える基盤技術開発を進めています。

研究事例:電解処理法による貴金属ナノ粒子の作製

白金などの貴金属ナノ粒子は高い触媒活性を有しており、水電解や燃料電池などの触媒としての期待が高まっています。また、実用化に向けて低コストな製造技術が要求されています。
当研究室では、電解処理法(電析法)を用いた貴金属ナノ粒子の作製技術を確立し、その形態制御や合金化に取り組んでいます。本手法は原料の貴金属基材と希酸のみで構成されており、低コスト化・廃棄物の低減が可能です。

成果報告:Nishimura et al., Electrochim. Acta, 129, 152-159, 2014.
大阪府立産業技術研究所報告No.30(2016)
PCT/JP2010/065055

過去に実施した研究テーマ名

令和4年度

特別研究

  • セラミックス複合積層造形物への低温プラズマ処理によるS相の研究
  • 低温プラズマ処理による二相ステンレス鋼複合造形物の高機能化
  • さび層安定化による鉄筋腐食抑制方法の開発
  • フッ化物イオンのインターカレーション反応を利用した新規二次電池活物質の創成

基盤研究

  • 新規固相樹脂による分離分析手法に関する研究
  • 基材成分による鉄-アルミニウム炉中ろう付の高強度化に関する研究
  • 真空アーク蒸着法によるc-BN膜合成条件のプラズマ発光分光法を用いた検討
  • 炭酸塩融解を用いた難溶性合金材料の試料前処理
  • 微細構造制御による金属空気二次電池用正極触媒の高活性化
  • クラックレスと高硬度を両立した電気Ni-W-P合金めっき皮膜の開発
  • 溶融亜鉛めっきの水中における腐食に関する基礎的検討

令和3年度

特別研究

プロジェクト研究

  • 金属積層造形(AM)技術の高度化

基盤研究

  • 電気Ni-W-P合金めっき皮膜のクラック低減化
  • 難分解性炭素材料中の微量金属分析
  • 新規固相樹脂による分離分析手法に関する研究
  • 基材成分による鉄アルミニウム炉中ろう付の高強度化に関する研究
  • 真空アーク蒸着法によるc-BN膜合成条件のプラズマ発光分光法を用いた検討
  • 微細構造制御による金属空気二次電池用正極触媒の高活性化
  • 気相不動態化処理方法の高度化

共同研究・受託研究

  • フェライト相を利用した鉄基耐熱材料の開発(2)
  • 日本鉄鋼認証標準物質認証値決定分析
  • 革新的二次電池に対する分析技術高度化に関する研究
  • 電析法を用いたパラジウムナノ粒子の作製とその特性評価に関する研究
  • ナノインデンターによる高純度Al合金の変形機構の解明
  • 第64回分析技術共同研究(リチウム電池正極材料・ナノ粒子の粒子径の分析)

令和2年度

特別研究

プロジェクト研究

  • 金属積層造形(AM)技術の高度化

基盤研究

  • 気化性防錆剤を用いた気相不動態化処理の応用研究
  • 固層樹脂による分離分析手法に関する研究
  • 鉄鋼とアルミニウムのろう付に有効なろう材添加元素の検討
  • Cr-C合金めっきの厚めっきに適した前処理条件の検討
  • モリブデン系シアノ架橋錯体の二次電池材料への応用
  • 電気Ni-W-P合金めっき皮膜のクラック低減化
  • 難分解性炭素材料中の微量金属分析

共同研究・受託研究

  • フェライト相を利用した鉄基耐熱材料の開発
  • リチウムイオン電池用無機バインダに関する研究(3)
  • 医療用高強度極細ステンレスロープの耐食性向上に関する研究開発2
  • 医療用高強度極細ステンレスロープの耐食性向上に関する研究開発3
  • 日本鉄鋼認証標準物質認証値決定分析
  • ナノインデンターによる高純度Al合金の力学的特性評価
  • 真空アーク蒸着による新規機能性膜の形成
  • イオンビーム照射による高分子材料表面のDLC 化とその物性に関する研究
  • 革新的二次電池に対する分析技術高度化に関する研究
  • 第63 回分析技術共同研究(ペタライトの分析)
  • 電析法を用いたパラジウムナノ微粒子の作製の研究
  • 銅めっきプロセスにおける素材活性化状態の電気化学的検討(2)

令和元年度

特別研究

基盤研究

  • オーステナイト系ステンレス鋼に対するプラズマ浸炭窒化処理のさらなる低温化
  • 気化性防錆剤を用いた気相不動態化処理の応用研究
  • 固層樹脂による分離分析手法に関する研究
  • 鉄鋼とアルミニウムのろう付に有効なろう材添加元素の検討
  • Cr-C合金めっきの厚めっきに適した前処理条件の検討

共同研究・受託研究

  • リチウムイオン電池用無機バインダに関する研究(2)
  • マイクロパルスプラズマ炉による薄肉部品へのプラズマ処理技術の開発
  • 溶融亜鉛めっき上のりん酸亜鉛処理の高度化
  • 医療用高強度極細ステンレスロープの耐食性向上に関する研究開発
  • 日本鉄鋼認証標準物質認証値決定分析
  • ガラスコーティング液の原料配合比の検討
  • ナノインデンターによる高純度Al合金の力学的特性評価
  • 真空アーク蒸着による新規機能性膜の形成
  • 銅めっきプロセスにおける素材活性化状態の電気化学的検討
  • 溶射皮膜の特性評価
  • 電析法を用いた金ナノ微粒子の作製の研究(3)
  • 二次電池の機器分析の基礎的手法に関する研究

平成30年度

特別研究

基盤研究

  • 主成分分離による含有成分分析の高精度化の検討
  • 鉄鋼とアルミニウムのろう付技術の開発
  • 優環境性を指向した水銀フリー参照電極の開発
  • オーステナイト系ステンレス鋼に対するプラズマ浸炭窒化処理のさらなる低温化
  • 気化性防錆剤を用いた気相不動態化処理の応用研究
  • 真空アーク蒸着法によるc-BN膜の成膜技術に関する研究

共同研究・受託研究

  • 超鏡面ハイブリッド型硬質クロムめっきロールの開発
  • リチウムイオン電池用無機バインダに関する研究
  • 水溶性金属加工油用水溶性防錆剤の開発
  • 薄肉部品へのプラズマ処理の応用技術の開発
  • 日本鉄鋼認証標準物質認証値決定分析
  • ナノインデンターによる高純度Al合金の力学的特性評価
  • ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の新たな強度評価法の開発と、これを用いたDLC 膜の強度評価(4)
  • DLC膜評価法のラウンドロビン試験評価
  • コンクリートにおける鉄筋腐食の発生・進展メカニズムの解明
  • 二次電池の機器分析の基礎的手法に関する研究
  • 真空アーク蒸着による新規機能性膜の形成
  • ベントナイトの分析およびナノ粒子の粒径測定

平成29年度

特別研究

基盤研究

  • 主成分分離による含有成分分析の高精度化の検討
  • 鉄鋼とアルミニウムのろう付技術の開発
  • 電析法を用いた金属酸化物触媒の組成および形態の制御に関する研究制御
  • 優環境性を指向した水銀フリー参照電極の開発
  • 鉄鋼材料表面に生成する皮膜に関する研究
  • 超硬質クロムめっきの適用範囲拡大のための厚膜化の検討

共同研究・受託研究

  • 環境・エネルギーに配慮した汎用的な溶融亜鉛めっき用無煙フラックスの開発
  • ステンレス鋼用の電解研磨液の開発
  • 日本鉄鋼認証標準物質認証値決定分析
  • コンクリートにおける鉄筋腐食の発生・進展メカニズムの解明
  • UBM スパッタ法により作製した金属ガラス膜の高温特性評価
  • DLC 膜のトライボロジー・ラウンドロビン試験評価
  • ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の新たな強度評価法の開発と、これを用いたDLC 膜の強度評価(3)
  • 電析法を用いた金ナノ微粒子の作製の研究
  • 二次電池の機器分析の基礎的手法に関する研究
  • 溶射皮膜の特性評価
  • ねずみ鋳鉄中元素濃度の測定

平成28年度

特別研究

基盤研究

  • 鉄鋼材料表面に生成する皮膜に関する研究
  • 超硬質クロムめっきの開発

共同研究・受託研究

  • 金属空気電池用ハイドロゲルセパレータの開発
  • 防錆油の防錆機構に関する研究
  • 高速めっきの実用化に向けた評価手法の開発
  • 超軟磁性3元合金めっき皮膜の開発
  • コンクリートにおける鉄筋腐食の発生・進展メカニズムの解明
  • 電子ビーム蒸着法を用いた新規Ti基金属ガラスの創製とその応用(2)
  • 電析法を用いた貴金属ナノ微粒子の作製の研究
  • 庵治石の分析
  • ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の新たな強度評価法の開発と、これを用いたDLC膜の強度評価(2)
  • 溶融亜鉛めっきの高度化に関する研究
  • 硬質クロムめっきの耐食性評価
  • 日本鉄鋼認証標準物質認証値決定分析

公募型共同開発事業

  • 組成変調型積層合金めっきの実用化
  • UBMS 法による高機能DLC 膜の開発

平成27年度

特別研究

産技研プロジェクト研究

  • 革新型電池開発プロジェクト研究(金属空気二次電池 担当)

発展研究

  • UBMスパッタ法による金属ガラス皮膜の成膜技術に関する研究

基盤研究

  • 高純度鉄中微量含有成分の高精度分析法の検討
  • 鉄鋼材料表面に生成する皮膜に関する研究

共同研究・受託研究

  • 防錆油・防錆フィルムの防錆機構に関する研究
  • めっきの高速化に向けた電気化学的評価方法の開発
  • めっきの高速化に向けた電気化学的評価方法の開発2
  • 金属空気電池用ハイドロゲルセパレータの開発
  • 電子ビーム蒸着法を用いた新規Ti基金属ガフスの創製とその応用
  • 銅合金の分析
  • ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の新たな強度評価法の開発と、これを用いたDLC 膜の強度評価
  • コンクリートにおける鉄筋腐食の発生・進展メカニズムの解明
  • ドライコーティング膜のナノインデンテーション評価に関する検討

公募型共同開発事業

  • 組成変調型積層合金めっきの実用化
  • UBMS 法による高機能DLC 膜の開発

平成26年度

特別研究

産技研プロジェクト研究

  • 革新型電池開発プロジェクト研究(金属空気二次電池 担当)

発展研究

  • UBMスパッタ法による金属ガラス皮膜の成膜技術に関する研究

基盤研究

  • 高純度鉄中微量含有成分の高精度分析法の検討
  • プラズマ処理における雰囲気ポテンシャルの最適化

共同研究・受託研究

  • 防錆油・防錆フィルムの防錆機構に関する研究
  • POM 歯車歯面に形成したダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の損傷機構の解明

公募型共同開発事業

  • 組成変調型積層合金めっきの実用化
  • UBMS 法による高機能DLC 膜の開発

インフォメーション

依頼試験、技術相談、相談内容で担当部署がわからない場合など、下記相談窓口へお尋ねください。

本部・和泉センター

(技術相談・総合受付)
0725-51-2525

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