当研究所の技術シーズを活用して、商品化
当研究所の技術シーズを活用して、商品化
◆概要
地方独立行政法人大阪産業技術研究所(以下、当研究所)と共同研究中の株式会社桃谷順天館は当研究所の技術シーズを活用し、新製品を上市しました。これは当研究所の皮膚に常在する微生物の生育制御に関する技術を化粧品に展開し、製品化したものです。
◆内容
皮膚には善玉菌と悪玉菌が存在しますが、それらの両方の生育を抗菌剤等で抑制するのではなく、悪玉菌だけを抑制し、善玉菌を残しておく方が、皮膚の健康に役立つことが分かってきました。
当研究所では、微生物の選択的抗菌活性の評価技術と、機能性脂質の製造・精製の技術を有し、①パルミトレイン酸を用いて、肌荒れの原因となる黄色ブドウ球菌(悪玉菌)の生育を抑制し、表皮ブドウ球菌(美肌菌、善玉菌)の生育を抑制しない研究、②ペンタデカン酸を用いて、ニキビの原因となるアクネ菌のうち、悪玉アクネ菌だけの生育を抑制する研究(桃谷順天館との共同研究)を進めています。今回、①の技術を活用して肌環境を整える製品(モイストラボフローラ)が株式会社明色化粧品より2019年8月23日より販売されました。
桃谷順天館HP:http://www.e-cosmetics.co.jp/
明色化粧品HP:https://www.meishoku.co.jp/
(株式会社明色化粧品は株式会社桃谷順天館のグループ企業です。)
◆活用された当研究所の技術シーズ
・文部科学省 科学研究費補助金 基盤研究C(2018-2020年度)
課題名:黄色ブドウ球菌感染時に活性化し皮膚菌叢を健全化する脂質の酵素・微生物生産法の検討
代表研究者: 永尾寿浩
・文部科学省 科学研究費補助金 基盤研究C(2014-2017年度)
課題名:アトピー性皮膚炎増悪化予防に資する脂肪酸素材の微生物変換法と酵素法による生産
代表研究者: 永尾寿浩
・JST A-STEP「FSステージ 探索タイプ」平成24年度(第2回)
課題名:皮膚常在菌制御によるアトピー性皮膚炎増悪化予防に役立つ新規な脂肪酸素材の開発
代表研究者:永尾寿浩
https://www.jst.go.jp/pr/info/info921/index.html
◆当該研究者の関連業績(抜粋)
特許: 特許出願番号:特願2016-214239
発明の名称:アクネ菌株選択的抗菌剤
出願人:地方独立行政法人大阪産業技術研究所、株式会社桃谷順天館
発明者:宇山彩香、杉野哲造、永尾寿浩、田中重光
表彰: 日本農芸化学会2018年度大会「トピックス賞」受賞(写真)
演題名:ニキビ患者群に多いアクネ菌株に対して選択的抗菌活性を示す脂肪酸のスクリーニング
https://jsbba.bioweb.ne.jp/jsbba2018/index.php?btn2_move=on&topics=1
さらに,アメリカ油化学会(American oil chemists’Society, AOCS)の2018年度年次大会(2018年5月、ミネアポリス)で
450件の発表から優秀5件に選出され、AOCSの会員誌・INFORM の7月号に記事が掲載されました。
◆本件 問い合わせ先
・当研究所 森之宮センター 企画部 コーディネーター 大野安男
・TEL : 06-6963-8018
・E-mail : y-ohno(A)orist.jp
(A)は@に変更して下さい。