概要
X線回折は容易に結晶学的な情報を得ることができる優れた分析手法である.本稿ではX線回折測定に必要な基礎的な内容だけでなく高クロム鋳鉄に含まれる炭化物の同定例や新規ハイエントロピー合金膜の分析例についても紹介した.これらの事例の評価対象物は微量な炭化物や薄膜の分析であったが,高出力なXRD装置を使用することにより短時間で分析することができた.化合物の違いにより,材料の機械的, 電気的,熱的,および磁気的等性質は大きく異なるため,材料開発にとって化合物同定は重要であることを説明し,公設試にある高出力のXRD装置を是非利用して欲しいと紹介した.