概要
本論文では、構造物内部の音源探査手法においてドメイン転送(DT)モデルを利用して、シミュレーションデータで学習した音源探査(SSL)モデルを実環境に適用する方法を提案する。提案手法は、SSLモデルとDTモデルから構成される。SSLモデルは構造物内の音源の位置を予測し、DTモデルはデータ変換を担う。シミュレーションは完全ではないため、実データはSSLモデルにとって外挿データであるが、DTモデルによって変換されたデータは特徴空間における内挿データとなる。そのため、SSLモデルの実世界に対する性能は向上する。本研究では、構造物の外表面で観測された加速度周波数応答をモデルの入力データとし、音源の位置を予測することを目標とする。SSLモデルはディープニューラルネットワークまたは畳み込みニューラルネットワークによって構築され、DTモデルはオートエンコーダ、ディープ畳み込みオートエンコーダ、またはpix2pixによって構築される。t-SNEから、DTモデルとしてpix2pixを用いた変換が最も高い性能を持つことがわかった。さらに、提案手法の性能は、変換を行わない場合と比較して、分類問題で最大57%、回帰問題で最大27%改善されることがわかった。