概要
立方晶窒化ホウ素(c-BN)は、ダイヤモンドの次に硬く、耐酸化性に優れ、鉄と反応しにくい特徴を有するため、次世代の工具・金型用硬質皮膜として有望である。しかし、工具・金型のコーティング手法として一般的な真空アーク蒸着(CVA)法によるc-BN膜の合成技術は確立されていない。我々は、耐熱衝撃特性に優れた陰極材料を開発し、CVA法によるBN膜の合成を可能にした。本記事では、BN膜の特性(組成、構造、硬さ・弾性率)に及ぼす成膜パラメータ(ガス組成、アーク電流、基板バイアス電圧)の影響について解説する。