地方独立行政法人大阪産業技術研究所 - 当法人は、(地独)大阪府立産業技術総合研究所と(地独)大阪市立工業研究所が統合し、平成29年4月1日にスタートしました。研究開発から製造まで、企業の開発ステージに応じた支援を一気通貫で提供し、大阪産業の更なる飛躍に向け、大阪発のイノベーションを創出します。

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口2025-0378

発表題目 フレキシブルシリコンを用いた曲げ変形可能なテラヘルツシリコン導波路の提案
発表者名 ○山根 秀勝、山田 義春、近藤 裕佑、村上 修一、他
発表会名 第73回応用物理学会春季学術講演会
発表日

2026/3/16

概要


テラヘルツ帯のデバイスは、通信、医療、セキュリティなど多岐にわたる分野での応用が期待されている。近年、テラヘルツ帯域で損失の小さい高抵抗シリコンを基盤とする「テラヘルツシリコンフォトニクス」が注目されている。我々はMEMS技術によりシリコンに微細加工を施すことで有効媒質やフォトニック結晶構造を形成し、偏光制御素子や低損失導波路を提案してきた。しかしながら、シリコンは剛直で脆性的であるため、変形や衝撃に弱くデバイス実装には課題がある。我々はこれまでの研究で、MEMS微細加工によりシリコンに微細周期ばね構造を形成することで柔軟性を付与できることを示してきた。本研究では、このシリコンの柔軟化技術を導波路へ展開し、曲げ変形可能なシリコンテラヘルツ導波路を提案する。220 μm厚の高抵抗シリコンを用いた導波路を検討した。Cladding部は微細周期ばね構造からなる低屈折率の有効媒質とし、機械的な柔軟性を付与した。Core部には、Cladding部の変形に追従させるため、波長より十分小さいスリットを加工し、一次元アレイ(脊椎状構造)を形成することで機械的柔軟性とテラヘルツ導波特性の両立を図った。作製した素子は破断なく可逆的な曲げ変形が可能であった。素子の透過特性をWR-2.2ベクトルネットワークアナライザ(330?400 GHz)で評価した。直線状態(曲げ角θ = 180°)を基準とし、曲げ状態(θ = 120°, 90°)における相対透過スペクトルを比較した。その結果、曲げ変形による損失の増加はほとんど見られず、良好な伝搬特性が維持されることが確認された。本成果は、シリコンデバイスの耐衝撃性の付与や、フレキシブル光電融合配線、ウェアラブルデバイスへの展開など、シリコンフォトニクスにおける実装自由度を大きく拡張する技術基盤となる。