地方独立行政法人大阪産業技術研究所 - 当法人は、(地独)大阪府立産業技術総合研究所と(地独)大阪市立工業研究所が統合し、平成29年4月1日にスタートしました。研究開発から製造まで、企業の開発ステージに応じた支援を一気通貫で提供し、大阪産業の更なる飛躍に向け、大阪発のイノベーションを創出します。

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化成品合成研究室

『安全に、安価に、かつ環境にやさしく製造するものづくり技術(プロセス開発)』を主テーマとしてホウ素・亜鉛などの有機金属や触媒を用いた合成反応の開発・改良、材料合成への応用に取り組んでいます。そして広く有機合成技術に関連した分析依頼・相談に対応しています。

担当者 お問い合わせなどについては「*」印の連絡担当者へお願い致します。

    • 伊藤貴敏 *
    • 岩井利之
    • 松元 深
    • 隅野修平

対応する業界、素材や技術

有機反応、グリーンケミストリー、医農薬、プロセス化学、フローマイクロ合成、クロスカップリング、樹脂添加剤、天然物合成、色素、顔料

研究内容

フローマイクロリアクターを利用した高選択的合成法の開発

マイクロリアクターは数μmから数百μm程度の微細流路を持つ微小な反応容器ではありますが、フロー方式(連続送液)で使用するため大量製造にも適用可能であり、研究室におさまるような小型の反応装置を用い年間数千トン規模での製造も見込まれています。生産量は製造設備の大きさによるものではなく、送液時間に対応して増やすことができるため、生産量のコントロールも容易に行うことができます。つまり、実験室での研究段階から工業的生産への移行が容易で、研究開発段階から実生産までの期間が大幅に短縮されると考えられることから、プロセス開発の面からも注目を集めています。さらに、反応装置そのものが非常に小さく、発熱反応における温度制御や、爆発などの危険性を伴う合成反応をより安全に行なうこともできるため、都市型産業として適しているものと考えられています。
本研究室では、マイクロリアクターによるフロー・マイクロ合成の手法を用いて、有機金属試薬を利用した合成反応開発や、逐次反応制御を目的とした有機薄膜太陽電池材料合成の選択性の改善について取り組んでいます。

マイクロリアクターの特徴フローマイクロリアクターが利用される分野

機能性リン化合物の合成と応用

有機リン化合物は、酸化防止剤、可塑剤、難燃剤等の樹脂添加剤として幅広い用途を有するため工業材料として重要です。有機リン系難燃剤はハロゲン系難燃剤の代替として注目されていますが、これまで有機リン系難燃剤の中間体製造においては、金属塩の触媒存在下、180℃を超える高温・長時間の反応が必要とされており、より効率的な製造プロセス開発が求められてきました。本研究室では、超強酸を触媒として用いることで、約半分の反応時間および120℃の温和な反応温度で効率良く製造できる合成法の開発に成功しました。さらに触媒のリサイクルが可能な固体酸触媒も見出しました。

有機亜鉛試薬を用いた付加反応やカップリング反応

医薬品・有機機能性材料をはじめ、多くの化成品の製造過程において金属試薬は必ずといって良いほどいずれかの工程で使用されているといえます。その工程は非常に重要であり、化成品製造の効率やコストに大きく影響を与えるものです。しかし、金属試薬の中にはリチウム試薬など発火し易く取り扱いに注意を要するものもあり、金属試薬を用いた安全で有用な製造方法の開発がコストの削減や高付加価値製品の開発の面から期待されています。また、多段階を経て合成するような複雑な構造を持つ化合物であるほど、分子内に存在する他の官能基への影響を考えつつ合成ルートや用いる試薬を考慮しなければなりません。そのため様々な官能基を有する有機金属試薬の利用は非常に有用性が高く、その調製法の開発や合成への応用が強く求められています。なかでも、このような官能基共存性の高い有機金属試薬の代表例として有機亜鉛試薬をあげることができます。
本研究室では金属試薬を用いた安全で有用な合成反応の開発を進めており、その一環として金属亜鉛からの有機亜鉛試薬の調製と有機合成反応への応用を検討しています。これまでに、金属亜鉛を介した有機ハロゲン化物とカルボニル化合物の反応に着目し、クロロトリメチルシラン(TMSCl)を活性化剤とした反応やカルボニル化合物のオレフィン化反応を開発してきました。また、有機亜鉛試薬を用いたアルデヒドおよびイミンとのRemote-Reformatsky型の反応によるアルコール、アミンの合成やパラジウム触媒を用いたクロスカップリング反応を開発してきました。

金属亜鉛を用いた様々な炭素-炭素結合生成反応亜鉛を用いた合成例

有機太陽電池用材料の効率的合成法の開発

太陽電池システムは化石資源の枯渇によるエネルギー危機や二酸化炭素量の増大・地球温暖化等の環境問題の解決策として重要視されています。なかでも有機薄膜太陽電池は、軽量・柔軟性・予見される安価な製造コストゆえに、ポストシリコン太陽電池として注目されています。メタノフラーレンの一種である[6,6]-Phenyl-C61-Butyric Acid Methyl Ester(PCBM)と導電性高分子から成るバルクヘテロ接合型のデバイスが報告されて以来、デバイスの改良や長波長まで吸収するドナー材料の開発により、変換効率は向上しており、年では8%を超える変換効率が報告されるようになりました。一方でアクセプター材料はフラーレン誘導体の検討が図られているものの、PCBMが標準的材料として広く用いられているのが現状です。
本研究室ではアクセプター材料PCBMの大量合成を見据えた検討を行っており、禁水条件を必要としない合成法、付加前駆体としてイオウイリドを利用する合成法、マイクロリアクターを利用する方法などにより、短工程・温和な反応条件・高収率で製造できる合成法を見出しています。

化成品合成研究室に関するお問合せ

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